小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

ひとりかくれんぼ/完結

INDEX|33ページ/35ページ|

次のページ前のページ
 

 その不自然な音が、俺の名前を呼ぼうとしている。見つけたという、宣言をしようとしているんだ!頭の中がパニックを起こしていた。駄目だ、そんなことしたら、今度は俺が…違う、その前にタイムリミットが来てしまう。

 思わず、やめろ、と言いかけた口に、水たまりの水が入ってきた。
 が、それが、


(これ…微かに、しょっぱい…?)

 
 さっき塩水を噴き出してしまった時に、おそらく、この水たまりにも塩水がかかったんだろう。俺が最後に口に含んでいた塩水は相当な濃度だった。だから、きっと、もしかしたら…!
 痛む背中をこらえて、顔をあげた。そうして、声を振り出した。


「井坂、弘毅のっ…勝ちっ…」


ゴッ、コゥ…ウウウゥア、キ…っ


 背後の女も声を上げる。何を言っているか、聞き取れない。聞き取れない、気にしている場合じゃない。女より、先に、3回、言わなければ、ならない。


「いさかっ、こうきの…かち!」


 意識が朦朧とする。口が回らない。女のうめき声と妹の泣き叫ぶ声が頭に響く。口の中が、塩っぽい。あと、1回。


「い、さか…こーき、のっ…か、」





黒い影が、すうっと伸びていく。





『みいつけた』