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They go on each way.

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ようやく落ちついた頃。
娘を前にして涙を見せるつもりなんてなかったのにと今更ながら思い、少しだけ後悔する。
こんな父親を娘はどう思っているのだろうと思い巡らしながら、一つ提案する。
「少し外を歩かないか?」
「うん」
芽実は微笑みながらそう返す。その笑顔が眩しくて敵わない。
テーブルの上に置かれた伝票を手にとって席を立つ。
彼女が椅子から離れるのを見てから、レジの方へと向かう。彼女は私の隣に並んで歩く。
「ごちそうさま」
「どう致しまして」
レジで馴染みの店員さんに会計と挨拶を済ませてからお店の戸口へと向かう。
自動ドアの前に立ってドアが開くとちょうど別の人がお店の中へ入って来るところだった。
軽く横へ退きながら、何気なくその顔を見上げる。
そこにいたのは、瑞希だった。
「康隆さん……」
彼女は私の姿を認めるなり、私と芽実とを交互に見て、みるみる青ざめてゆく。
その足が半歩下がって今にも駆けださんとする寸前のところで思わず呼び止める。
「瑞希!」
彼女が呼ばれたことにビクついて後ずさろうとするのを、腕をつかんで引き止める。
「彼女は、俺の娘だから」
言われて、瑞希は私の目を訝しげに見て、それから茫然としている芽実を見た。
「ひとまず、場所を変えよう……」
そう言って、私は振り返ってマスターに軽く会釈をしてからその喫茶店を後にした。
作品名:They go on each way. 作家名:高良 七