狂い咲き乙女ロード~3rdエディション 暴かれた世界~
ミニコミ部は昔からほぼ男子禁制というのが不文律として存在する部活だった。それは創部以来の伝統として今の代にも受け継がれており、部長交代にもある約束事が存在している。
最も『百合』に相応しい者が部長の座を引き継ぐ、というのが影の伝統となっていたのである。
そしてその法則によって選ばれたのが立花由利恵だった。
彼女は入部当初から一際目立った存在だった。腰にまでかかる長い黒髪、色白で極め細やかな肌、すらりと伸びたハイソックスが似合う足、『百合』としての条件を十分なほどに彼女は満たしていた。部長就任に際しても異論を唱える者は一人として現れなかった。
そしてもう一つの伝統。副部長は『百合』自身が愛した者を選ぶという約束だった。愛する者が部内にいなければ、その代は副部長の座は空けるというのがルールだった。
時を遡ること約一年前。
この高校において文科系の部活は学祭終了とともに役員が変わるのが常である。その日のミニコミ部の部会においても、同じように次期部長が先代の役員たちによって発表された。狭くて薄汚い部室には、普段なら顔を出さない三年生までもが集まって、全員が神妙な面持ちで現二年生の部長の言葉を聞いていた。
「それでは次期部長となるのは――立花由利恵さん、あなたです」
その言葉に歓声と拍手が沸き起こった。
作品名:狂い咲き乙女ロード~3rdエディション 暴かれた世界~ 作家名:黒子