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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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飛んで魔導士ルーファス

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 とは言っても状況的にはエルザは人質に捕られていて最悪。
 エルザを後ろから羽交い絞めにする男が1人と、手が空いている3人が残る敵だが、誰もケンカが強そうな顔と体をしている。
 果たして痩せ型のルーちゃんに勝ち目はあるのか!!
 男Aが吠える。
「よくも俺のダチをやってくれたな。この女の彼氏だかなんだか知らねえが、ただじゃあ済ませねえ!」
 吠えた男Aをルーちゃんは鼻で笑った。
「わたしはエルザの彼氏じゃない、エルザはわたしの愛人Aだ。それに――」
 上着を脱ぎ捨てたルーちゃんの豊満な胸がボヨ〜ンと弾む。
「わたしは女だ!」
 男ABCDがルーちゃんの胸を見て舌なめずりをした。
 超美人顔で巨乳ときたら喰うしかないと男たちは判断したのだ。
 先手を切って男Aがルーちゃんに飛び掛ってきた。
「俺が先に頂くぜ!」
「ふん、下賎な。この大魔王ルーファス様に敵う男がいるものかっ!」
 クイック状態のルーちゃんは軽やかにステップを踏み、呪文を唱えながら回し蹴りを放った。
「ラギ・ウインドキック!」
 風の力を宿し放たれた蹴りは……見事に外れた!
 その隙にルーちゃんは男Aにボディブローを喰らった。
 どうしたんだルーちゃん、ルーファスじゃないルーちゃんは強いんじゃないのか!?
 殴られた腹を抱えながらルーちゃんは、ビシっとバシッと指を差した。
「おのれ凡人のクセになかなかやるじゃないか!」
 威勢よく言ったルーちゃんは男Aではなく、明後日の方向を向いていた。
 ――ルーちゃんは郵便ポストに話しかけていた。
 しまった!!
 そうか、そうだったのか……グルグル眼鏡を外したから何も見えていないのだ!!
 ルーファスはルーちゃんになってもへっぽこだった。
 ――こいつになら勝てる!
 そんな空気が男どもに蔓延して、ABCが一気にルーちゃんに襲い掛かった。
 気づけばルーちゃんはボコボコにされて、なんか弱ったところを服まで脱がされそうになっていた。
「やめろ鬼畜ども、汚い手でわたしの体に……きゃっ、誰だ今ケツ触ったのは!!」
 ヤバイぞ、ルーちゃんピンチだぞ!
 ルーちゃんの弱点に気づいたエルザが叫ぶ。
「メガネをかけろルーちゃん!」
「イヤだ、こんなダサイ眼鏡かけられるか!(あぁん、こいつめ胸を触りやがって!)」
「見た目にこだわってる場合か!」
「場合だ!」
 ポリシーなんだからしょーがないジャン♪
 しかし、本格的にそんなことを言ってる場合じゃなくなってきていた。
 上着を全部脱がされそうになっているルーちゃんの下乳がっ!
 それ以上の露出は『魔導士ルーファスシリーズ』じゃ許されないぞ!
 ルーちゃんの体の周りにマナフレアが発生していた。
「(見えなくてもこの距離なら……)」
 声高らかにルーちゃんが呪文を唱える。
「ピコ・トルネード!」
 ルーちゃんを中心に強烈な竜巻が天高く吹き上がった。
 竜巻に巻き込まれたABCは空の彼方へと飛んでいったついでに、ルーちゃんも飛ばされていた♪
 ABCを飛ばすためにはルーちゃんも飛ばされる必要があった。こんなのルーちゃんは計算済みだ。
 上空でルーちゃんパンチ!
 ルーちゃんキック!
 ルーちゃんヘッドバッド!
 次々と男どもを地面に叩き落し、華麗にルーちゃんは地面に着地……グキッ!
「足……くじいた」
 見事にルーファス負傷!
 足をくじいて立ち上がれない、さすがだ!
 だが、もう敵はただ1人だ。
 あまりのルーちゃんの強さに残った男Dの顔に冷たい汗が流れる。
「こ、この女がどうなってもいいのか!?」
「ルーちゃん!」
 歯を食いしばって自分の不甲斐なさを悔やむエルザ。そんな表情のエルザを見て、ルーちゃんの闘争心がメラメラ燃え上がる。
「エルザに傷1つでもつけてみろ、おまえの(ピー)からな!」
 あまりにも過激かつ汚らしい言葉だったので自主規制が入りました。ご了承ください。
 ルーちゃんの発言に蒼い顔をするエルザ。その後ろではもっと蒼い顔をする男D。いったいどんな言葉を聞いたのだろうか、とても気になる。
 蒼ざめた男Dはエルザの体を突き飛ばし、股間を押さえながら逃走!!
 ルーちゃんはまだ足をくじいていて追えないが――。
「逃がすか外道、ラギ・エアカッター!」
 ルーちゃんの放った風の刃が男Dに切りかかる。
「ぎゃぁぁぁぁっ!」
 悲痛な叫び声をあげた男Dは……すっぽんぽん!
 下着1枚残さずみごとに風の刃に切り刻まれた。
 股間を押さえてすっぽんぽんの男が汚いケツを見せながら逃げていった。
 完全なる勝利感に浸るルーちゃん。
「あ〜ははははっ、これこそ完全な勝利だ!」
 ほっとして力の抜けたエルザが地面に尻餅を付き、ルーちゃんがすぐに駆け寄った。
「大丈夫か?」
「すまない得体の知れないクスリを飲まされ力が……(力さえあれば男などに負けぬのだが)」
 悔しそうな顔をするエルザの頬に一筋の涙が零れ落ちた。
 ルーちゃんはエルザを強く抱きしめた。
「心配するな、おまえがわたしの愛人である限り、何があろうと思って見せるさ」
「アホかっ!」
 エルザのグーパンチがルーちゃんの頬を抉った。
「私はいつから貴様の愛人になったのだ!」
「この世のオンナは生まれたときからわたしの愛人だ」
 今度は無言のままグーパンチが飛んできた。
 鼻血をブーしながらルーちゃんは少し怒った表情をした。
「命の恩人を2度も殴るなんて、この心知らずめ!」
「助けてもらわなくても自分の力でどうにかできた」
「ふっ、強がるな。今のおまえの力は凡人以下だ。2度のパンチもぜんぜん痛くはなかったしな!」
 強がっても鼻血は出てるけどね!
 エルザは拗ねたようにそっぽを向いた。
「仕方ないであろう。変なクスリを飲まされて力が……」
「いったいあいつら何者なんだ?」
「前に不良行為をしているところを注意して仕置きをしてやったのだ。きっとそれを逆恨みして、私を待ち伏せしていたのであろう」
「あんなやつら束でかかって来ようとまた守ってやる」
 サッと立ち上がったルーちゃんは、地面に落ちていたエルザの刀と自分の服を拾い上げて埃を払った。
「さて、世界征服を企てるために行くぞ」
「そんなこと私が許さんぞ!」
「まあいいではないか」
 ルーちゃんはエルザを強引に背負った。
「なにをする、私は1人で歩ける!」
「ムリをするな」
「ムリをしてるのは貴様のほうだろう!」
 ルーちゃんはくじいた足を引きずっていたが、決してエルザを下ろそうとしなかった。
 もうエルザはなにも言わなかった。
 エルザはルーちゃんの温もりを感じながら目を閉じた。たとえ相手が?ルーちゃん?でも、エルザの心臓は激しく鼓動を打っていた。
 できれば、ずっとこのまま……。
「……重い」
 ボソッとルーちゃんが呟いた。
「そんなに重くない!」
「いや、重い」
 文句を言いながらもルーちゃんは歩き続けた。

《3》

 しばらく二人だけの時間をエルザが過ごしていると、後方から豪快なエンジン音が近づいて来た。
 見事に雰囲気ぶち壊しですね!
 エルザが後ろを振り向くと、そこにはジェットホウキに乗る爆乳の女。もちろんカーシャだった。