漆黒のヴァルキュリア
第一章 戦乙女とお供のカラス 1
やぁ、マイスター。これからあんたの部下になるエナだ。よろしくな。
話は聞いてるよ、あんたアース神族じゃなくて、エインヘルヤルなんだって? ……神々の国・アースガルドも、いよいよ人材不足って事なのかねぇ……
まぁいいや。あんたが何もんだろうと関係ない! オレはオレの仕事をするだけさ。そうだろ?
で、オレの仕事って言えば決まってる。あんた達、エインヘルヤルの仲間を増やすって事。
でさ、実はもう、目星付けてんのがいるんだよね〜。
あ、ちゃんと人間ダゼ? 安心しろよ、昆虫はまぁ……しばらくは候補から外しとくからさ!
でな?
ん〜……これがまた、絵に描いたような勇者なのさ。すごいんだぜぇ〜?
ほら、現代って、ケイサツってのいるだろ? 昔で言うと衛兵みたいな連中。そのケイサツ相手にさ、仲間逃がすために大立ち回りしてんのさ。鉄の馬に乗ってね?
そうそう、なんたっけ、おーとばい? ソイツの乗ってるソレがまた、思いっきしハデでさぁ〜。一番前が、白鳥の首みたくもたげてあるし、横っ腹には、なんだっけな? 『県警上等!』って書いてある。なんでか知らないけど、オレこの国の文字読めたりしちゃうほど博識だけどさぁ、これはイミ分かんなかった。どういうイミ?
県警ってのは、まぁ県ってエリアの警察ってコトだろ? で、上等……と。
……褒め言葉か? やっぱ分かんないな〜……
オレもね〜、字は読めても文化とか知らないじゃん? だからさ、あんたのコト一応頼りにしてんだぜ? 日本通なんだろ? まぁ、オレのお目付け役ってのは気に入らないけど、だからって、ガキみたいに反発する気もないからさ。仲良くやろうぜ?
……っと、いつまでも『あんた』ってのも、なんかイヤだな〜……一応、オレの上司なんだし。なんて呼んだらいい? あんたの好きな呼び名で呼ぶぜ?
まぁいっか。オレもあんまりヒマじゃないんでね。これからターゲット追跡しなきゃなんないんで、今回はこの辺で終わらせるよ。でも、お堅いのはイヤだからさ、できればフレンドリーな呼びやすいので頼むぜ?
それじゃぁな。
作品名:漆黒のヴァルキュリア 作家名:山下しんか