わが家の怪
─七─ 《好奇心》
インターネットを始めてまもなくのこと。
たくさんの童話書き仲間と知り合った。
ある日。夫が出張で帰らなかった晩、わたしは夜遅くまでネットで仲間のHPを見て回っていた。
その時、ある一人のHPの掲示板に、その人の友人が、「自分のつきあっている女友達が悪霊にとりつかれて困っている。なんとか除霊する方法はないだろうか」という書き込みをしているのを目にした。
だいぶせっぱ詰まっているようなようすだし、いつもその掲示板で見る名前なので、アラシのたぐいではないことは理解できた。
もちろん、わたしにはなにもできないが、どんな風なのだろうと、半分好奇心も手伝ってその人のHPへアクセスしてみた。
ところが、たちまち画面が真っ青になり、重苦しいいやな気が押し寄せてきた。
まるで首を絞められるような感覚。
「やばい」
わたしはあわてて、『戻るボタン』を押した。
しかし、画面は戻らない。
フリーズしてしまったのだ。
重苦しい邪気、いや悪気はますます迫ってくる。
まるで、画面から手が出てきて首を絞められているような感覚だ。
息ができない。苦しい。
強制終了しようと電源ボタンを押したが、反応がない。
「くるな! くるな!」
真夜中の部屋で一人念じ、その気を押し戻そうと必死になった。
ますます息ができなくなる。
「来るな!!」
電源ボタンを思い切り強く押す。
押し続ける。
もう少しで、得体の知れない力に負けそうになったその時。
──ポッ──
画面が暗くなった。
PCの電源が切れたのだ。
と同時に、いやな気も消えていった。
──ああ、助かった。
わたしは安心して、椅子にへたり込むと、肩で大きく息をした。
──教訓:好奇心もほどほどに……