わが家の怪
─拾壱─ 《子ども》
めずらしく風邪をひいてダウンしていた土曜日の午後のことだった。
たまたまその日、休みだった夫が、携帯電話を買いに出たので、一人で寝ていた。
うつらうつらしてきたとき、枕もとに人の気配を感じた。
「だれ?」
寝ぼけ眼で見ると、子どもがいる。
それがちょうど3歳くらいの長男の姿ににていた。
「ああ、H。おいで」
眠くて意識がもうろうとしてるわたしは、迷うことなくふとんにその子を入れようとして……。
はっと気づいた。
──なにいってんの。Hは今日は仕事に行ってるじゃない!
そうなのだ。
長男(次男もだけど)はとっくに成人していて、その日も仕事に出ていたのだった。
わたしの意識が正常に戻ったとたん、その子どもは消えてしまった。
すっかり目が覚めたわたし。
どっと疲れてしまった。
けれど、後で落ち着いて考えた。
──もしかしたら……
流産した子どもの霊かもしれないと、思った。