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せき あゆみ
せき あゆみ
novelistID. 105
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わが家の怪

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─拾─ 《得体の知れないモノ》




 比較的最近あったわが家の怪。

 夏の蒸し暑い曇った日の昼下がりのこと。

 わたしはPCに向かっていた。
 次男は出かける前にシャワーを浴びるといって風呂場に入っていった。

 しばらくして、階段をとんとんと数段上る音が聞こえてきた。続いてぴしゃっと障子を閉める音が。

「あれ? いつの間に?」

 わたしは次男が二階に上がったのかと思ったが、風呂場では相変わらずシャワーの音がしている。

 ──じゃあ、今の音はなに?

 わたしが陣取っているPCの机がある場所は、家のちょうど真ん中で、家中が見渡せる。だから、風呂場から出てきた次男がわたしに知られずに2階に上がることは不可能なのだ。

 風呂から出てきた次男に、そのことをいうと、次男は気味悪がった。
 一緒に2階に上がってみると、次男の部屋の障子は開いていた。
 
 では、さっきの音は?


 次男が出かけてから、わたしは姪に電話をした。
 姪は霊感が強い。

「わたしは幽霊探知機じゃないんだから」

と言いながら、姪はすぐにやってきた。

 二人で2階に上がる。
 階段を登り切らないうちにぞわぞわした気分になって、全身を悪寒がおそってきた。

 そして、2階の廊下に立つと、二人とも見る間に鳥肌が立った。

「やだ。なに これ」

 腕をさすりながら姪が言った。
 
「すごく悪い気だね」

 わたしも鳥肌のたった腕をさすった。

 けれど、その気配はそこでなくなっていて、姪にも正体はわからなかった。

 どうも階段から2階の廊下は霊の通り道のようなのだ。
 これまでも何度か、足音や人の通る気配を感じたりしている。

 普段は気にもとめないが、このときの気は悪気だったので、しばらくの間清め塩を置いておくことにした。



 それにしても、得体の知れないモノが一番怖い。



作品名:わが家の怪 作家名:せき あゆみ