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隠れて恋人関係

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「ご馳走様でした」
「どういたしまして」
彼女の弁当を平らげ、俺は買っておいたお茶を飲んだ。食後のまったり感にひたる。そうしている俺は、窓から雲が流れる青空を眺める。
――あの時と同じ空だ。彼女と恋人として付き合うようになった日と同じだった。
普段から部活ではいがみ合いだった俺達だから、「恋人同士なの?」なんてからかわれるように聞かれることもあった。すると彼女は不機嫌な顔で「違うわよ!」とひどく怒る。
その反応には、俺は結構ショックを受けてたものだ。
……それは俺が彼女を好きになっていたからだ。
そしてある日のこと、偶然に部室で二人きりになったとき、彼女から告白されたのには驚いた。俺は頭が混乱して、考え事も出来ないまま呆然としてしまう。そして俺の沈黙が長かったのか、彼女はもうすぐで泣きそうな顔になりかけた。それを見た俺は彼女を抱きしめていた。そして告白を受けいれたのだ。二人で手を繋いで部室を出たとき、綺麗に感じた青空が今でも忘れられない。

――(俺達の関係って、なんで隠す必要があるんだ?)あの頃を回想していた俺は、そう疑問を感じた。部活内の冷やかしが嫌だからとかで、二人で隠すことに決めたけど。そのせいで俺達は無意味なぶつかり合いが増えていた。今だってぎこちないながらも、本当は彼女の優しさには嬉しいんだ。
あの告白のあった時と同じ空を見てると、俺の心がなにか決めなければいけないことがあるのではないかと鼓動がはやくなった。
「……なあ」
俺が声をかけると、彼女はビクッと反応した。さっきからそわそわしてる彼女はやっぱり変だ。
作品名:隠れて恋人関係 作家名:ヨミメル