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　ずらりと並んだお守りを眺めながら吉野が目を輝かせる。まるでアクセサリーショップにでも来ているみたいだ。
　破魔矢やら熊手やら絵馬やら招き猫やらダルマやらまで物色していたので何度も「買うのはお守りだけだぞ」と後ろから注意する。

　さんざん迷った挙句に買ったのは、有名なファンシーキャラクターの刺繍がされたピンク色のお守りだった。

「ガキっぽいな」
「一年中持っているんだから、やっぱりカワイイ方がいいじゃんッ。ほら、ちゃんと貴志の分も買ってあげたからさあ」

　それはコイツが持っているものと同じタイプのブルーバージョンだった。
　今年はコレを周囲の目から隠しながら生きていかなければならなくなったわけだ。

「お揃いだねッ」
「ああ……そうだな。嬉しくて涙が出るよ」


　この神社には おみくじが何種類もある。
　子供用や天然石が入っているものや内容が恋愛関連に限定されたものなど。
　まあ、俺が引くのは一番ノーマルなものと決まっているのであまり関係ないけど。

　アイツがどれにしようかと迷っている間に俺がノーマルおみくじを引くと、すぐ吉野も同じようにした。

　そう言えば、ここ数年は大吉を出した覚えがない。良くても中吉で、吉とか末吉とかばかりだったように思う。

　だから、おみくじを開いた瞬間、最初は喜んでしまった。


　でも、それは大きな見間違いだったのだ。