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Happy New Year!

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 なんとも言えない脱力感を覚えながら、俺は先程いた休憩所に移動した。

「甘酒貰ってくるよ。お前も飲むだろ?」
「うんッ」

 紙コップに入れられた甘酒を2人分持ってくると、アイツは長椅子に座って俺を手招きしていた。
 俺は立ったまま紙コップを手渡したが、コートの裾を引っ張られて強引に座らされる。

「やっぱりコレを飲むと、お正月だなあって感じだよね」
「そうだな」

 一緒に飲むのは初めてだったけど、俺達は毎年この甘酒を飲んで正月を感じていたんだ。
 甘酒のさっぱりとした甘さに身体が温かくなっていく。

「あのさあ、貴志」

 甘酒を飲み終えた吉野が俺を見る。

「ん?」
「お腹空いたよねえ」
「まあ、もう昼時だからな。早いとこ済ませて帰るか?」
「いやいや、まだまだやることあるからさ、ここでちょっと食べちゃおうよ」
「ここで?」
「うん。焼き鳥とか売ってるじゃん」

 確かに神社の右手にある駐車場にはいくつか屋台が出ているはずだ。
 いつも歩きで来ている俺はほとんど行ったことがなかったが。

「たぶん売ってると思うけど、家に帰ってから食べればいいだろ? 近いんだから」
「わたしは朝ごはんも食べてないんだよッ、可哀想だとは思わないの?」
「それは自業自得だ。だいたい、お前は無一文じゃないか」
「まあまあ細かいことは気にしないでさあ」

 甘えるように密接してくるのを避けるように俺は立ち上がった。

「じゃあ、少しだけだぞ」
「うんッ」


作品名:Happy New Year! 作家名:大橋零人