お焚き上げ
不思議と恐怖は無かった。
その青白い炎には熱さを感じなかったから。
炎はあっという間に私の全身を包んで、周りの雑音も聞こえなくなった。
気づかないうちに火の粉が飛んできたなんてことは考えられない。
これは事故じゃない。私は燃やされたんだ。
(なんで?)
避けられない死を目前にした私の頭の中には疑問しか無かった。
お守りを燃やしたから? それなら他の人だってしているじゃない。
今までお守りを返さなかったから? だったら、返しに来た日に燃やすなんてヒドイよ。
私のお守りはすでに原形を失って炎の中に消えていた。
私も同じように消えていく。
ああ……
そうか……
分かった。
簡単なことだった。
この世での私の役目は……
もう 終わっていたんだ。