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「架空請求」

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 会議が始まると、各プレゼンの紹介が始まった。部長が担当者に質問をしながら、紹介をしていくのである。祐介は部長にここで質問をされたことが一度もない。たいていは、質問を多くされるプレゼンが選ばれる。なにせ、これからの社運をかけるプレゼンだ。選ばれないプレゼンなんかを質問しても、意味がないのである。だが、今日は違った。
「祐介、ここを答えてくれ」
 会場にいる誰もが驚いた目で祐介を見る。何か悪いものでも食べたような顔で部長を見ている者もいる。
「えーと、ここはですね、…」
 祐介が長い説明をし終わると、部長はもうプレゼンを終えたような顔で、
「あっ、そうか…、それなら当日も山内君にプレゼンを頼もうか。この資料は非常にできがいい。これならうまくいくと思うよ」と言った。
 同僚は、非常に驚いた声をあげて祐介に矢継ぎ早に質問する。それを答える祐介。時間はあっという間に過ぎ、帰る時間が夜9時になった。

作品名:「架空請求」 作家名:ミラボー