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だれか姉ちゃんを止めてくれ!

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「……ん」
「あ、目が覚めたみたいね。ちょっと涼、大丈夫?」
 目を覚ますと側は郁奈子がいた。消毒液の独特な臭いが鼻をつく。どうやら気を失った後保健室で寝かされていたらしい。
「あぁ、何とか大丈……っと」
 ベッドから起き上がろうとしたが、まだ視界が定まらない俺は体制を崩してしまう。
「ちょっと、無理しちゃ駄目よ」
「あ、あぁ。サンキュ、大丈夫だから」
 郁奈子に支えて貰ってどうにか起き上がる。
「どのくらい気を失ってたんだ。なぁ、今何時だ?」
「……今十八時くらいかな」
「結構長いこと気を失ってたみたいだな。郁奈子、ずっと付いててくれたのか?」
「ば、馬鹿言わないで。授業が終わってから偶々消毒液の匂いが嗅ぎたくなって保健室に来たついでよ。別に涼なんかどうなったって構わなかったんだからね」
「……はぁ、左様で」
 ……いくら何でもその言い訳は無理があると思うぞ。変な匂いフェチみたいになってるじゃないか。
「あ、そういえば姉ちゃんは!? あの後どうなった?」
「心配しなくても私が止めたわよ」
 ふふん、と鼻で笑うと郁奈子はベッド脇の
カーテンを勢いよく開けた。
「なっ……」
 俺は思わず言葉を失った。――そこには全身傷だらけの姉がプルプルと震えながら土下座をしていたからだ。
「……姉ちゃん?」
「堪忍してけろ! おら、ロリ巨乳を前に思わずテンションが上がってしもうて。何で自分でもあんな事をしてしもうたかわからんのじゃ。でももうやらんから許してけろ! 殴らんでけろ!!」
 涙を流しながら立ち上がる。その顔はボコボコに膨れあがっていた。
「……やり過ぎじゃない?」
「ふん、これでもまだまだこれでも足りないくらいよ! ……誰が立って良いって言ったの!」
「ひ、ひいぃぃぃ!」
 郁奈子に言われ慌てて正座に戻る。
 この姉を止められる人間は俺を含めて三人だがそれぞれにやり方が違う。タッちゃんは言葉で巧みに誘導し落ち着かせる方法、俺は言葉と状況によっては昼みたいな強硬手段を使う。そして郁奈子の場合、とりあえずボコボコにするだ。
「クラスメイトに手を出しただけじゃなく、涼にまで怪我をさせるなんて……やっぱり一本ぐらい折っとくべきかしら」
「それは勘弁してけろ!!」
「もういいから許してやれよ」
 放っておくと永遠に終わらない気がしたので声をかける。郁奈子が不満そうな眼で睨んできたが気にしない。それにこのまま本当に骨を折られても困る。
「ほら、もう暗くなる前に帰るよ」
 二人に促す。俺はベッドから降り、さっさと保健室から出る。
「ちょっと待ちなさいよ」
「涼様! ありがとうござぇます、ありがとうごぜぇます……」
 礼なんて言うくらいならトラブルを起こさないで欲しい。