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弓ちゃん、恋をする

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 星也の三つ子の魂には、弓ちゃんの影響下にあり続けたせいか、(臆病者というのは言い過ぎかもしれないけれど)多少引っ込み思案で弱気なところがあった。両親はそのことについても心配していたが、こちらのほうは星也が成長していくにしたがってだんだんと解消されていった。世の中は何も弓ちゃんのような人間ばかりで満ちあふれているわけではない。星也がそのことをうすうす感じ始め、やがてそれが確信に変わっていくのにあわせて、星也はまわりとごく普通に接することができるようになった。あまり積極的にではないにしろ、ごく普通に。星也の三つ子の魂は百歳までもたなかったのだ。
 でも弓ちゃんの場合はそう簡単にはいかなかった。百歳までもつかどうかはさすがにわからないが、少なくとも一七歳までの弓ちゃんは相も変わらずの調子でまわりを振り回し続けた。高校生になった弓ちゃんは中学生になった星也を相変わらず臆病者扱いしたし、原則的に男の子という生き物を激しく憎んでいた。だからお父さんとお母さんはさすがに心配していた。いったいあの子はいつまであれを続ける気なのかしら?
作品名:弓ちゃん、恋をする 作家名:おいら