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グリーンオイルストーリー空の少年たち3

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その姿をレインは横目で見ていた。
「じゃ、気をつけてね。」
「面倒かけてすまない。もどって、休んでてくれ。」
ジゼルは二人に手を振った。
ロブはジゼルに手を上げて挨拶をした。
レインは小さく左手で手を振った。
コックピットのドアが閉まり始めた。
丸い月の明かりをうけた三日月の形の岩山からテントウムシがジェット噴射で飛び出した。

自分の部屋で食事を済ませ、ひとり、部屋で自失茫然としていたジリアン。
バイク窃盗の男たちに襲われたくらいで、取り乱し自分を見失うはずもない。
そんな弱いものなら、襲われたら逃げ切れない。
咄嗟の判断で男たちをリュックで気を失わせることができたのだから。
ジリアンは両手で顔を覆った。
自分自身がどうしてそうなったのか、過去を振り返るため、目を閉じた。

ジリアンは、ものごころついたころに、自分の体に痣ができていることを知った。
その原因を理解できるまでに時間がかかった。
なぜなら、痣ができるほど、強くつねられていることを感じていなかったからだ。
つねっていたのは、セシリアだった。
セシリアはマーサの知り合いということでスタンドフィールド・ドックに来ていて10年ほどドックにいてた。
レインとロブが犬のようにじゃれ合って仲良くしている姿をジリアンが見ていると、セシリアがそっとそばによってきて背中をつねるのだ。
ジリアンは誰にもそのことを話さなかった。
そのうち、その痣ができていることをマーサが知り、セシリアの仕業だと気づいて、ふたりが言い争う姿を見かけるようになった。
しかし、セシリアはやめなかった。
ジリアンはマーサにセシリアを責めないように言った。
レインはセシリアが好きだった。
ジリアンはそのことを知っていたので、レインを悲しませたくなかった。
マーサが病気で亡くなると、ジリアンへの虐待はエスカレートしていった。
まだディゴと結婚していなかったジゼルがマーサの代わりに食堂に出入りするようになっていたが、ジリアンはセシリアとジゼルを避けるようになった。
ジリアンがジゼルを避ける理由は、大人の女性だったから。ジゼルに原因があるわけではないのに、避けるまでに追い込まれていた。
その様子に不振に思っていたロブだったが、ジリアンに理由を聞いても話してはくれなかったので、心配してジリアンに目をかけるようになった。