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グリーンオイルストーリー空の少年たち3

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それは、ロブが闇の配達をするため、ドックを留守にしていたときに起きた。
ロブがいないことをいいことに、セシリアはジリアンを、岩山から外れた穀物小屋に連れて行き、そこで虐待を繰り返していた。
叫べないように、口にタオルで塞いでいた。
「おまえはどうしてそんなに醜いの!おまえはどうして生意気な口を利いて、わたしを困らせるの!言っても聞かないようなら、こうするしかないでしょう!」
地べたにうずくまって、背中を棒でたたきつけられるジリアン。
何度となく繰り返されるうちに、不振に思ったレインがその小屋に現れた。
レインがみたのは、裸で背中を打ち付けられるジリアンの姿と、顔を真っ赤にして髪を振り乱し怒り狂い棒を振り下ろすセシリアの姿だった。
セシリアの姿にショックを隠せなかったレインだったが、ジリアンの酷い姿を目の当たりにして、セシリアに抱きついてやめさせようとした。
「何をしているの、セシル!どうしてジルに酷いことをするの。やめてよ!」
「放しなさい!レイン。あなたには関係ないことなのよ!わたしはジリアンが許せないのよ!わからせるためにするの!」
いつも優しく接していたレインに暴言を吐くほど、セシリアは自分を見失っていた。
「レイン、離れないなら、あなたもぶつわよ!」
セシリアは、ジリアンに向けて振り下ろしていた棒をレインにむかってたたきつけようとした。
いままで、泣くこともなく耐え続けていたジリアンだったが、そこで初めて泣き叫んだ。
セシリアは小屋の事件でドックを去った。


ジリアンは我に返った。
天井を仰いで、思った。
自分のことで、泣くことができないと。
今、虐待されて受けた傷を心の傷を感じる時でさえ、泣くことはできなかった。
ジリアンは、いつでもどこでも、レインと一緒だった。
風邪を引いて寝込んでいたときには、ロブやレインがいつもそばについていて看病してくれた。
虐待されていることをロブやレインに言わなかったのは、みんなと一緒にいられる幸せが壊れてしまうのではないかと感じていたからだ。
みんなと一緒にいられる幸せを失うのではないかという恐怖に自分を見失ってしまったことをジリアンは深く考えていた。

ジリアンがベッドに入ると左の壁に、写真が貼ってあった。
マーサの写真がそれだけしかなくて貼っているのだが、そこには幼いジルを抱いているセシリアも写っている。