時の部屋
そして新座鷹宮大学でも最難関と言われる法学部を受け、合格した。両親は喜んでくれたが、それだけだった。私の高校からそこに行く人間は一人もいない。私はそこでもう一度やり直すことにして今に至るわけだが、どうしても昔の自分のように明るくなることができずにいる。
目立てば、誰かがそれを叩く。出る杭は打たれる運命にあるのだ。私はそれが、どうしても怖かった。
その時、偶然聞いてしまった生徒の会話の中に、どうしても忘れられないものがある。
――「そういえば明智明日香さんって、名前の全部に日が入ってるんだね」
――「名前の割には陰険なことするよな」
私はそれでも、自分の名前を嫌いになることはなかった。代わりに、彼ら、彼女らを嫌いになった。