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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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ぺんぺんのマジカル大冒険!

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 さっそくぺんぺんはギンギンがみている横で、自分の体よりもおおきな紙を広げました。
 ぺんぺんは折り紙でトリを作るつもりなのです。そうです、人間の世界では紙ヒコーキと呼ばれているものです。
 人間の世界でも、ヒコーキが発明される前から、紙ヒコーキはありました。もちろんそのときは別の名前で呼ばれていました。
 ペンギノン王国にはヒコーキはありませんが、空を飛ぶ紙ヒコーキのような折り紙があるのです。
 空飛ぶ折り紙を折ったぺんぺんは、さっそくそれに乗ってみました。
 でも、紙はぺんぺんの重さにたえられなくて、グシャリとつぶれてしまいました。
 ギンギンは腹を抱えて笑っています。
「ぎゃはははは、本当にバカだな。もしも潰れない折り紙だったとしても、だれが飛ばすんだよ?」
 そうです、紙ヒコーキはだれかが投げなくては飛ばないのです。
 こんな大きな折り紙、いったいだれが投げられるのでしょうか?
 ギンギンはおかしくってたまりません。
 もう笑いがとまらなくて、おなかを押さえたまま地面を転がっています。
 そこへアデリーヌがやってきました。
「そんなに笑うことないでしょう。ぺんぺんはこんなにがんばっているのよ」
 実はアデリーヌ、ぺんぺんのやってきたことを、こっそり見守っていたのです。
 すっかり落ち込んでしまったぺんぺん。
「もうダメだぺん」
 アデリーヌはぺんぺんにやさしい声をかけます。
「ギンギンにいくら笑われたって気にしちゃダメよ。ねえ、知ってる?」
「なんだぺん?」
「わたしたちペンギンのご先祖さまは、大空を羽ばたくトリだったのよ」
「え~っ!」
 とってもぺんぺんはビックリしました。
 でも、ギンギンはそんな話、信じようとしません。
「ぺんぺんのバカがうつったんだな。オレたちペンギンがトリのわけないだろ」
「本当よ、わたしたちペンギンはトリだったんだから」
「オレたちとトリのどこが似てるんだよ?」
 ペンギンには空を飛ぶ翼だってありません。
 聞かれたアデリーヌはちょっと困ってしまいました。
「う~ん、クチバシが似てるでしょう? ほら、足だってどこか似ている気がしない?」
 でもやっぱりギンギンは信じられません。
「トリは海の中を自由に泳げないだろ、逆にオレたちは空を飛べないんだ。ぜんぜん違うじゃないか。イヌとネコのほうがまだ似てるな」
「でも……」
 アデリーヌは言葉につまってしまいました。
 みんなはアデリーヌの言葉を信じることができるかな?
 ぺんぺんは信じました。
「ぺんぺんはアデリーヌちゃんのこと信じるぺん」
「ありがとうぺんぺん。きっと努力すればペンギンだって空を自由に飛ぶことができると思うの」
「でも、どうしてペンギンは飛べなくなったぺん?」
「さあ、それはカミサマがお決めになったことだから」
 また横でギンギンが腹を抱えて笑いだしました。
「カミサマなんて信じてるのかよ。そんなのいるわけないだろ、バカだなぁ」
 本当にカミサマがいるのか、それはわかりません。
 けど、信じることがきっと大切なのです。
 信じ続ければきっと夢だって叶います。
 ぺんぺんは思いつきました。
「そうだぺん、カミサマに会えば飛べるようにしてもらえるぺん!」
 それを聞いたギンギンは、あきれてしまって、もう笑うことすらしませんでした。
「バカバカ、本当におまえバカだ。いないもんをどうやって探すんだよ?」
「カミサマは絶対いるぺん」
 こうしてぺんぺんはカミサマを探して旅に出るのでした。

 ぺんぺんの冒険がはじまりました。
 とは言っても、じつはご近所さんをグルッと回るだけでした。
 どうやらカミサマはご近所にはいないようです。
 そんなにはやく見つかったら、ギンギンだってカミサマがいないなんて言わないでしょう。
 もうすこし遠くまで、ぺんぺんはカミサマを探しに行くことにしました。
 しばらく歩いたところで、ぐぅ~とおなかがなってしまいました。
「お菓子食べたいぺん」
 でも、お菓子はギンギンに取られてしまっています。
 おなかをすかせて歩いていると、ぺんぺんは地面に落ちているクルクルキャンディーを見つけました。
「今から3秒以内に拾えば3秒ルールが適用されるぺん!」
 急いでぺんぺんはクルクルキャンディーを拾いました。
 いくら3秒以内に拾っても、やっぱりドロでよごれていて、食べられそうにありませんでした。
 食い意地がはってしても、おなかを壊すのはぺんぺんだってイヤです。
「洗えばきっと食べれるぺん」
 さっそくぺんぺんは近くの海に向かいました。
 塩水でサッササと洗って、ドロはきれいに洗い落とせました。少し塩味になっちゃうけど、そのくらいは気にしません。
 さっそくクルクルキャンディーを食べようとすると、そこへ怖そうなヒョウアザラシがやってきました。
「おい、うまそうなもん持ってるな。俺様にくれよ」
 まるでギンギンみたいです。
 でも、ヒョウアザラシのほうが体も大きく、迫力がぜんぜん違います。
 このヒョウアザラシは、このあたりでも有名なギャングです。
 ギャングとはとっても悪いことをしている集まりです。
 いつの間にかぺんぺんはの周りには、たくさんのヒョウアザラシたちが集まっていました。
 ここはヒョウアザラシギャングの縄張りだったのです。
 悪いギャングたちが、なにもしないでぺんぺんを帰してくれるわけがありません。
 このまま捕まってしまえば、きっとこわくていたい目にあわされてしまいます。
 ぺんぺんはブルブルふるえ上がりました。
 ノッシノッシと大きな体でヒョウアザラシがせまってきます。
 こわくてぺんぺんはその場を動けません。
 そのときでした!
 岩場の影からギンギンがあらわれたのです。
 ギンギンはじょうずに岩場をピョンピョンとんで、ぺんぺんのそばまでやってきました。
「おい、さっさと逃げるぞ!」
 ギンギンはぺんぺんのことを引っぱって逃げ出しました。
 まさかギンギンに助けてもらうなんて、ぺんぺんもビックリひとみをまん丸にしています。
「どうしてギンギンがいるぺん?」
「べ、べつにおまえが心配になってついてきたんじゃないからな」
 本当はどうなのでしょうか?
 なぜギンギンはぺんぺんのあとを、ついてきたのでしょうか?
 ギンギンは運動神経も抜群で逃げ足もはやいのですが、ぺんぺんはモタモタして足がじょうずに動きません。
 すぐにヒョウアザラシたちに追いつかれてしまい、岩場の行き止まりに追い詰められてしまいました。
 大変です、もう逃げ場はありません。
 そんなときでした。
 岩場の影から小さなペンギンが現れました。
「弱い者イジメはやめなさい!」
 女の子のペンギンです。アデリーヌではないようです。もっと小柄のペンギンです。
 ヒョウアザラシがこわい顔をしてその女の子をにらんでいます。
「おまえ、どこのだれだ!」
「どこのだれかと聞かれたら、名乗ってあげようあたしの名前。フェアリーペンギンのアイドル、まほう使いドロシーちゃんよ!」
 それを聞いたぺんぺんはおめめをキラキラ。
「まほう使いかっこいいぺーん!」
「そんなのウソに決まってるだろ」