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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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ぺんぺんのマジカル大冒険!

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 と、ギンギンはぺんぺんの頭をゴツンをなぐりました。
「いたいぺ~ん」
 ドロシーは本当にまほう使いなのでしょうか?
 それはまだわかりません。
 だって、まほうをみせる前にギャングたちにとらえられてしまったからです。
「いや~ん、つかまちゃった。だれか助けてー!」
 助けてにきたのに、助けてほしいだねんて、元も子もありません。
 このスキに、ギンギンはぺんぺんとコッソリ逃げようとしましたが、ぺんぺんがモタモタしている間に、ヒョウアザラシに気づかれてしまいました。
「逃げられると思うなよ!」
 とってもおおきな声でこわいです。
 このときばかりは、ギンギンもふるえ上がってしまいました。
 ヒョウアザラシはこわい肉食動物です。
 もしかしたらぺんぺんたちは晩ごはんにされてしまうかもしれません。
 ぺんぺんはとってもかなしくなりました。
 もう大好きなお菓子も食べられなくなるかもしれません。
 お菓子はギンギンに取られてしまいました。
 もっとたくさんお菓子を食べておけばと後悔しました。
 ここでぺんぺんはあることに気づきました。
「そう言えばお菓子持ってるぺん」
 そうです、拾ったクルクルキャンディーがあるではありませんか。
 ぺんぺんはクルクルキャンディーを食べようとしました。
 そのとき、ドロシーがさけんだのです。
「食べちゃダメ! それあたしが落としたまほうの杖!」
 まほうの杖とは、まほう使いがまほうを使うときに使う杖です。
 でも、ぺんぺんが持っているのは、どうみてもお菓子でした。
 けれど、ぺんぺんはすぐに信じました。
「すごいぺん、これがあればぺんぺんもまほう使いになれるぺん!」
 ぺんぺんはクルクルキャンディーをひとふりして、おねがいごとを言いました。
「空をびゅーんと泳ぎたいぺん!」
 するとどうでしょう。
 ぺんぺんの体が宙に浮き、びゅーんと遠くへ飛んでいってしまいました。
 こうしてぺんぺんは夜空のお星さまになったとさ。
 残されたギンギンとドロシーはその後、どうなってしまったのかわかりません。

 おしまい。



「って、ちょっと待てよ!」
 ギンギンがさけびました。
 ついでにドロシーもさけびました。
「ちゃんとあたしたちのこと助けなさいよ!」
 すると、ぺんぺんが世界を一周して戻ってきました。
「こ、こわかったぺん。もう空を泳ぐなんてこりごりだぺん」
 ぺんぺんはガクガクブルブルです。
 あきれてしまったヒョウアザラシたちですが、気を取り直してぺんぺんたちに、おそいかかってきました。
 とってもこわい思いをしたぺんぺんは、もうヒョウアザラシなんてこわくありません。
 ぺんぺんはクルクルキャンディーをひとふりして言いました。
「お星さまがふってくるぺん!」
 すると空からこんぺいとうみたいな星粒がふってきて、ヒョウアザラシたちの頭にチクチクささりました。小さくてもとってもイタイです。
 さらに逃げようとしたヒョウアザラシは、地面に落ちていた星粒をふんづけてしまい、またイタイ目にあってしまいました。
「いたた、いたた、もうかんべんしてくれよ」
 ヒョウアザラシたちは涙目になってしまいました。
 空から落ちてくるキラキラ星をみたドロシーも、トラウマを思い出して涙目です。
 きっとドロシーはドロシーで、ここに来るまでの間に大冒険があったに違いありません。
 たとえば、なにもみえない夜の海で、海流にのみこまれて死にかけるとか。
 さらにサメやシャチに追いかけ回されて死にかけるとか。
 あくまでたとえ話ですが……。
 ぺんぺんはヒョウアザラシたちを、ゆるしてあげようと思いました。
「もうわるいことしちゃダメぺんよ?」
「もうわるいことしねぇよ、俺様たちがわるかった」
 どうやらヒョウアザラシたちも反省したようです。きっとギャング団も解散することでしょう。
 しかし、ほっとしたのもつかの間。
 なんと反省したはずのヒョウアザラシが、ぺんぺんのスキをみておそいかかってきたのです。
「あぶないぺんぺん!」
 おそわれそうになったぺんぺんをギンギンが押し飛ばしました。
 ヒョウアザラシのするどいキバが、ギンギンにかみつこうとしています!
 ぺんぺんはクルクルキャンディーをひとふりして言いました。
「ヒョウアザラシさんたち、みんなびゅーんぺん!」
 すると、ヒョウアザラシたちの体が宙に浮き、びゅーんと遠い空へ飛んでいってしまいました。
 こうしてヒョウアザラシたちは夜空のお星さま、ギャンググスターになったとさ。
 大活躍をしたぺんぺんは、たくさんがんばったので、おなかがすいてしまいました。
 なのでぺんぺんはクルクルキャンディーを、ひとくちで食べてしまいました。
「ガリガリ、おいしいぺーん」
 それをみたドロシーは顔が真っ青です。
「ああああっ! あたしのまほうの杖ぇぇぇぇっ!!」
「ごめんぺ~ん。けど、おしかったぺん」
 おいしければよかったというものではありません。
 ドロシーはガックリ肩を落としてしまいましたが、ぺんぺんをおこる気にはなれませんでした。だって、なにはともあれ、ぺんぺんは命の恩人なのですから。
「食べてしまったものはしょうがいないわ。スティックさえあれば、アメなんて作り直せるんだから」
 棒だけになってしまったまほうの杖を、ドロシーは返してもらいました。
 そして、ドロシーはお別れを告げました。
「それではお世話になりました。アタシは仕事があるので先を急ぎます」
 ペコリと頭を下げていこうとするドロシーを、ギンギンが呼び止めました。
「おまえいったいなにものなんだよ?」
「あたし? あたしはサンタさんの諜報部員よ。簡単にいうと、サンタさんからプレゼントもらえるよい子を、1年をかけて調べる仕事をしている……っていうのはココだけのヒミツね」
 こうして今度こそドロシーはいこうとしましたが、ふと振り返ったのです。
「そうそう、ぺんぺんは今日はとっても良いおこないをしたわ。きっとサンタさんからプレゼントがもらえるわよ」
「やったぺん!」
 けれど、その横ではギンギンがスネた顔をしていました。
「どーせオレは今年もプレゼントなんてもらえないんだ」
「さあ、それはどうかしら?」
 ドロシーはギンギンに笑いかけました。
 そして、ドロシーはまほうを使ってびゅーんと……飛べませんでした。
「食べられちゃったから、まほうがつかえないんだった」
 恥ずかしそうな顔をしてドロシーはぺんぺんたちに手をふると、ぴょこぴょこと歩きながら去ってしまいました。
 そうだ、ぺんぺんは空を飛んだのですから、お菓子を返してもらえるはずです。
「ぺんぺんのお菓子返して欲しいぺん」
「もう全部食べちまったよ」
「がび~ん!」
 こうしてぺんぺんの大冒険を幕を閉じたのでした。

 ほんとにおしまい。