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ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
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友の受賞に動揺した

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 私は賞にはほとんど縁がない。
六十年生きてきて、もらったのは二回だけだ。
最初は、小学校四年生の時、歯のコンクールで優勝した。
毎朝、きちんと歯みがきを続けたのがよかったのだろう。しかし今は、歯医者の世話になっている。
もう一つは、大学病院の医局の忘年会で、「最優秀主演男優賞」を貰ったことだ。
私が脚本を書き、主役を演じたコントだったが、あの時はどういうわけか、教授にうけた。教授の機嫌がよかったのだろう。

 その後、何も受賞したことがない。
私は努力のわりに報われない。
無口で人付き合いが下手なせいだろう。(受賞した彼が、おしゃべりと社交術で、のし上がったと言っているわけではない。もし、そう受け取る方がいたら、それはそれで仕方ない)

 私も、研究室に入った時は、将来を嘱望されていた。
その後、伸び悩んだのは、私のせいではなく、上司の指導が間違っていたためだろう。
そう書いてしまったら、とてもスッキリした気持ちになった。
作品名:友の受賞に動揺した 作家名:ヤブ田玄白