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近頃おもうこと

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その11



夫の症状には暴言やたまにひどい暴力があり、私はその症状が起きた時は急いで逃げるようにしていた。子供や母には言わなかったが、仲良くしてくれていた友達には話していた。何がなんでも逃げてね、と心配してくれた。

そういう状態のとき、県外に住んでいる大学の先輩と結婚していた次女に子供が産まれた。
結婚式には夫はまだひどい症状のある最中ではあったが、出席したいというので私は心配しながら付き添い、はるばる12時間電車を乗り継いで娘の住む当地に辿り着いた。先方の家に滞在中は夜奇声を発することもなく、普通の人のように振る舞っていた。

子供ができたときは夫は行けなかったので、私が長期滞在で子供の面倒をみた。
子守りは大変だったけど、滞在中は怖い思いをせずに過ごせたので、可愛い孫の仕草に喜ぶ毎日で楽しい思い出がいっぱいできた。
ずっと守りをして滞在したかったが、時々帰るように娘に言われたので、長い旅路を自宅に帰ったときもある。

夫は買物をしたり自炊したりするほど体調は回復していて、むしろ私のいない暮らしを楽しんでいる風だった。
私はあっちこっちと旅人のような暮らしを、今後もすることになった。



作品名:近頃おもうこと 作家名:笹峰霧子