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近頃おもうこと

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その3


結婚してから私は遊んでいたわけではなく、就職はしなかったものの口伝で集まって来た子供たちにピアノと英語を教えて収入を得ていた。片田舎には塾というものがなかったので周辺の人たちはこぞって私の私塾に子供を寄こした。

子供ができてからはしばらくやめていた時期があったが、そこは自由業なので何とでもなった。次女が産まれて暫くすると再び塾を始めた。
母と母の姉の二人が私の子供の守りをしてくれたから、助かった。

子供達が幼児のころは、夫は懸命に勤めに行き、休みの日には畑仕事をした。
後に聞いたところによると、不安定な精神状態で家庭を営むのは地獄のようだったと回想していた。

そんなわけで、幸せな時代であるはずなのに、夫とはよく喧嘩していた。
喧嘩の理由は夫が姑の電話で一目散に実家へ行き、同居していた兄嫁のことをうれしそうに話したりしたからだ。

子供がいるというのに、私にも、子供にさえ気遣いをしない夫に私はいつもいらいらしていた。夫が構ってくれないというテレビドラマではよく見るケースだ。


作品名:近頃おもうこと 作家名:笹峰霧子