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端数報告7

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トカゲの方程式


 
前回に書いたように2020年11月までおれは、日本政府が東京で日に千人を検査してるのか、それとも何千も検査するようになっているかに確信が持てないでいた。後者としか思えないけど、それはあまりにバカげている。いくらなんでも政府のトップがそこまでバカと思いたくない気持ちがあるため、無理に前者だと思おうとしていた。
 
志村けんが死んだ日のまま、[日に千人前後態勢]なのだと。あの後8、9、10パーと増え、15、20パーと増え、25%くらいのところで安定するようになったのだと。ならばそう言やよさそうなのにそう言わないだけなのだと。
 
無理にそう思おうとしていた。風邪のウイルスなんてのは毎年そんなもんなのかしれない。新型風邪が毎年生まれて世界に広がり、人を殺す。大勢を。今の日本では数千だけど、貧しい国では数万から数十万。
 
50年くらい前の日本でも数万人。みんながそれに感染したり、抗体を作って追い出したりを繰り返すため常に4人にひとりくらいがウイルスのキャリアとなっている。
 
そういうもんなのではないか。半世紀前までこの程度の病禍は珍しくなかったのに、今は50年ぶりに少しばかり毒の強い型がヨーロッパで生まれたためにWHOの中の政治屋が「史上最大の災厄」だとか「人類滅亡の危機」とわめいて有象無象がこれに乗っかることになった。
 
しかしそいつは〈0〉と〈00〉にしかポケットのないルーレットだ。たまたま2020年初めにひとつポケットが空いて10万くらいの小当たりが出て、すぐ塞がった。冷静に見ればそうとわかる程度の話に『シン・ゴジラ』って映画に出てくる、
 
画像:市川実日子一匹狼 アフェリエイト:シン・ゴジラ
 
こいつみたいな学者が「次は1億、いえ10億、いいえほぼ人類すべてが死にます!」と唱えてマスコミや政治家が飛びつく。
 
でもひとめ見てこんな女、言うこと信じちゃいけないとわかりそうなもんだろう。あんな映画が評論家に受けるのは、評論家というものが自我の肥大したトカゲだからで、
「俺はちっぽけな人間じゃない。ちっぽけな人間じゃないんだ」
とブツブツいつも心につぶやいている。それがあんなもん見たら、
「うおおおっ、これこそ俺の映画だ! 俺が求めていた映画だあ――っ!」
となるのはわかる。まあわかるけど、でもそんなやつはトカゲ。あの映画を讃えるやつはトカゲだ、ということがおれの頭ではもっとよくわかるのである。
 
コロナについても【感染拡大防止の観点】なんてことを言うのは全員がトカゲである。《1億を救った者に自分がなれる》というルーレットに群がるわけだが、同じ目に張ってるやつが山ほどいるので《1億が死に、俺を信じてついてくる者だけ助かる》という方向に賭け方を変える。それだと自分が卓のチップを総獲りしてゲームを終わらせられるわけだ。
 
そのうえで《無駄と知りつつ民を救うための努力は全力でしたのだ》との体裁は整えておこうとする。マスコミや政治家どもの顔見りゃそれがわかるだろうが――なんてことをその当時おれはブログに書いてたのだが、12月になってテレビが「感染がいよいよ爆発」と言い出す。
 
「今日は東京で400人! 過去最大を大幅更新!」
「今日は東京で450! 過去最大をまた更新!」
「今日は東京で500人! また過去最大を更新です!」
 
と。そして600、700と増え、1ヵ月間毎日連続で感染者過去最大の更新が報じられることになったが、皆さん憶えてますか。
 
もし忘れていたとしても思い出したことと思うが、おれがこの時考えたのは、
 
 
 
   「はん、やっぱり」
 
 
 
ということだった。
 
わかりますね。「250」と言ってた頃は、おれは確信が持てなかった。《風邪ウイルスというのは25パーくらいで安定するものでコロナもそうなのかもしれない》という考えもできるためにそれがレンコン弾倉の中の一発の実弾となって、自分に当てたリボルバーの引き金を引く勇気を持てぬことになっていたのだ。
 
が、こうなると話は違う。東京で日に千人を検査して300、400と陽性の確認数が増えていくのにまだ割合を言わない。
 
「今日は33%! 3人にひとりの計算です!」
「今日は40%! 5人のうちふたりがコロナに!」
 
と言わず、「今日は500人」となっても、
 
「半分! 半分が〈陽性〉と出ました。今日に東京で千人を検査し、五百が感染していたのです。ふたりにひとりが! ふたりにひとりが!」
 
と言わない。そんなのあってたまるか。
 
テレビは連日【感染者の過去最大を〇日連続で大幅更新】だけを述べたててるが、「今日は500」とニュースが言えば東京にはその500しか感染者がいないように聞こえる。[学者が言うのは501人になった時に〈波〉が来るということなのかな]と普通の人は聞いて思うんじゃないかと思うが、しかし次の日「550」になりその次の日に「600」になって、いつ〈波〉が来るかわからないし、こないだまでの話とまるきり違うような気がしてならない。
 
 
 
   「わけわかんねえ」
 
 
 
とおそらく大抵の人が、この時思っていたのではありませんか。
 
としたらあなたは正常です。この時に〈専門家〉が話す言葉がわかる顔して周囲の者に「それはやっちゃダメ。これはやっていい」と指図しウムを言わせず従わせた人間が、きっとあなたのまわりにも多くいたと思いますが、そいつらはトカゲです。
 
ばかでっかいティラノサウルスのフリをしてるがちっぽけなうえにちゃんと脚で立つこともできず、卑怯だから事がまずいことになると尻尾を捨てて逃げるやつです。そうでしょ? このコロナ禍の間、あなたに向かって「感染拡大防止の観点」なんてことを言ってきたのは。
 
全員がそうとわかるでしょうが。まあとにかく、おれはそいつらと違うので、テレビが「今日は400」「500」と言い出したことでわかったのだ。やはり〈千人前後〉じゃない。何千人も検査してたのがここに来てさらに増やしてると。
 
五千、五千五百、六千と。検査する数を毎日増やせば過去最大をそりゃあ毎日更新するさ。だがこんなことやるってことは、増えるどころか実は減っているんじゃないか。
 
と思った。割合では7から6、そして5パーと徐々に減っているとしても、それ以上に検査数を増やしたならば確認数は増えていくのだ。減っているのに拡大しているように見せかけることができる。
 
新型の風邪は毎年生まれて前年のものと取って代わる。コロナはこの年末に来て、自然消滅に向かいつつあるのでないか。しかし〈禍〉を起こす前に消えてもらっては困る者らが、消える前に禍を起こさせようとしてこんなことをやり出したのだ。
 
やはりコロナを『さらば宇宙戦艦ヤマト』の白色彗星帝国だと思ってる。エリートはその腐った頭で、宇宙に変な彗星が出て変な通信があったと聞いたらそれは星々を征服しながら地球を目指してやって来るものと考える。それは地球が全宇宙の中心だからだ。
 
画像:古代進地球は宇宙のリーダー アフェリエイト:さらば宇宙戦艦ヤマト
 
作品名:端数報告7 作家名:島田信之