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端数報告7

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ろろろロシアン・ルーレット


 
そうしておれは2020年10月に《コロナ禍なんて全部嘘だ》というブログを書き始めたが、しかしその最初の頃、頭にあったが文には書いて出さないことがひとつあった。
 
例の[割合]についてだ。ニュースはその頃に感染者を「今日は東京で250人」「今日は260人」なんて塩梅で報じており、それは横這いで変わらんのだが、しかし「累計で四万人になりました」「五万人になりました」とも言うようになってる。〈専門家〉はそのたびに、
 
「それだ! その数字です。東京で日に〇人で累計○人。これこそがまた〈波〉が来るという数字なのです。三日後にも第3波が来て今度こそ滅亡……」
 
と言ってこれも変わらんのだが、それは割合で何パーなのか。
 
それがわからない。志村けんが死んだ頃に東京で日に千人前後を検査してたのは疑いがない。しかしその後もそのままなのか。「今日は250」と言ったら25%なのか。
 
東京都民の4分の1が感染している計算になるのか。それがわからんが、でもやっぱりそうなんだったら「今はその状況です」と言いそうなもんでないかと思う。「今日は250」とか言ってる場合とちゃうのじゃないか。
 
「今日は250」と言ったらなんだか東京に、その250人以外にひとりもいなさそうにすら聞こえてしまう。25パーなら4人にひとりが感染している計算なのに。ぼくもあなたも喫茶店のバイト娘も4分の1の確率で感染してることになるのに。
 
だからみんなが落ち着いていて、八百屋さんも笑顔でおれに野菜を売ってくれるのかもしれないけれど、そうだとしたら報道の仕方が間違っている。「25%なのです! あなたも今その確率でコロナに感染しているのです!」と言わなければいかんのとちゃうか。
 
ろろろロシアン・ルーレットだあ――っ!と、おれの頭で考えるとそうとしか思えないのだった。なのにそう言わないってことは、やはりあの後に千二百、千五百と検査する数を増やしており、三千か四千くらいを今は検査してんじゃないのか。
 
だから「250」となるが、割合では7%のまんま実は変わっておらず、検査する数が千人ならば「70人」となるのじゃないか。
 
その疑いを強く感じてしまうのだけど、こればっかりは確信が持てない。いくらなんでも政府の者がそこまで愚かと信じたくない気持ちもあって、これはブログに書かずにいた。
 
〈政府の人間〉というのはしかし、
 
   *
 
「出世に無縁な霞が関の外れ者・一匹狼・変わり者・オタク・問題児・鼻つまみ者・厄介者・学会の異端児」
 
画像:シン・ゴジラ8人の変人
アフェリエイト:シン・ゴジラ
 
こんなやつらでもありそうだけど、しかしだからと言ってまさか。
 
ないよな。それだけはないと信じたい。この者達はオウムでハルマゲドンを信じて下の信者にいろいろへんてこりんなことをやらせた者らと同じ顔をしているし、テレビが【感染対策】として言うことはおれにはすべてそれと同じにしか聞こえないけどまさかまさか。
 
そう考えて書かずにいた。日本の霞が関がそれをやるのはWHOがやるから従っている、ということにもなりそうだけどそれもまさか。
 
とも思う。ニュースは連日「WHOは感染者の累計が全世界で○千万になったと発表しました」なんてことも言っていて、おれの頭ではこれもおかしいとしか思えんのだけど、しかし世界保健機関ともあろうものがまさかまさか。
 
そう考えて疑問をネジ伏せていた。[死者数の累計]ならばわかる――いや、それだって何倍にも水増ししてるとしか思えない感じだけれど、それを数えて公表するのはわかる。しかし[感染者数の累計]。
 
そんなもん意味ないだろう! それは[感染者数の累計]でなく、[検査によって一時的に感染が確認された者の累計]でしかない。エイズと違ってコロナは一度感染したらそのままとなるウイルスでなく、人体の免疫機構が抗体を作って追い出すことが可能であり、抵抗力の弱い人間以外にはそれが自然にできてるんだろ。一時的にウイルスを持っても、その後で検査受けたら〈陰性〉の結果が出るんだろうが。
 
なら累計に意味はない。エイズだってWHOにせよ何にせよ、「現在、世界で〇人がキャリアとなっていると推定されます」という発表の仕方はしても、「感染確認者の累計が〇人になりました」なんて言い方は聞いたことない。
 
するわけがない。そんな算術は無意味だからだ――おれの頭で考えるとそんな理屈になるし、別に難しい話ではなくごく簡単な理(ことわり)と思う。重要なのは[調査結果から導き出される感染者の実数]。その推定の値であって、だから前に書いたように、
 
「今日は東京で千人を検査し70人が陽性でした。割合では7%。東京都全体で90万が感染している計算になります」
 
こんなふうに言わねばならず、こう言わなけりゃ状況というのはわからないのだ。二千人を検査するなら「140が陽性でした」となるけれどもしかし結局、
 
「割合では7%。東京都全体で90万が感染している計算になります」
 
と言うのは同じなので検査数を増やすことには確度を上げる以外の意味なんかない。
 
なのに増やせば累計がうなぎ登りに加算されていってしまうが、そんなもんに意味はないのだ! おれの頭で考えるとそうなるし、こんなの簡単な理屈のはずだ。WHOや霞が関の学者がこれがわからんほどのバカとはおれは思いたくない。
 
――が、やっぱりどう見ても、それをやってるようにしか見えない。オウムの頭でっかちどもはこれをやったし、昭和の戦争の軍事学者もこれと同じことをやった。バブルなんとかやリーマンなんとかの経済学者もこれと同じことをやり、原発学者がどこでもこれをやるおかげでフクシマやチェルノブイリがある。
 
そしてマスコミや政治家がそれを担(かつ)ぐからそうなったのだ。現代の愚行のすべてはそうして起きているのであり、【検査体制の強化が必要】なんて言葉が今はもてはやされている。
 
マスゴミと政治家どもがそれを言う。けれどもそれって日の検査数を増やすっていうことだろう。なぜ必要で増やせばどうなるかというのをちゃんと考えて言ってる者は果たしているのか。
 
おれにはそう見えなかった。〈0〉と〈00〉以外のところにポケットがないルーレットをよく見もせずにカネをジャカジャカ突っ込んでいるヘボ博打(ばくち)打ちのようにしか見えない。一度小さな当たりが出たと聞いたらワッと群がって鉄火場を作り、まわりの者らが狂ってるから自分も頭に血を昇らせる。
 
そのようにしかおれには見えない。政治家による検査体制の強化によって三千五百が日に検査されるようになり「今日は245人」と言って、「累計で一万人を超えました」「二万人を超えました」とマスコミが報道する。
 
そりゃあ、超えるよ。一日70人だったら一万になるのに143日かかるが、三倍の数を検査したら三倍の率で増えていくよ。しかしそういう増やし方は、正しい増やし方ではない。
 
作品名:端数報告7 作家名:島田信之