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叶わぬ夢

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その3


私は病気がほぼ快復した23歳に栄養の専門学校に二年間通って栄養士の免許を取得していた。母は私が再び大学へ行くことは諦めていたのか、栄養士としての就職を進めてきたので、私は言われる通り小学校の給食の栄養士という名目で暫く通勤していた。

栄養士といっても大した実力はなかったので、それまで給食を作っていた調理師のおばさんたちに気にいられるはずもなかった。栄養士は調理師より給料は高かったのでそれも気に入らない原因だったと思う。

私は半年でその小学校をやめて大学へ行く決心をしていた。
一番近い他県にある大学に決め、合格したときは希望を持って入学した。本来の希望校ではなかったが一度諦めていた大学だけに、大学という場所で勉強できることはうれしかった。

遅れて入った大学では年下の子と同学年になり、それでもなんとか友達ができて、あちこち宿を変わりながらも勉強に身を入れて卒業できたのは、小学校勤務のときの屈辱があったからこそ卒業への決意が固かったのだと思う。

教師の免許を持たずに音楽も持たされ、保健室の係もさせられていたので何でも屋さんみたいなものだった。あのようにみじめな立場に居続けることは私にとっては屈辱であった。


作品名:叶わぬ夢 作家名:笹峰霧子