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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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あの穏やかな ✕ 椰子の木の下

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隠された宝物



 次の日の朝早く、クンタは砂浜に穴を四つ掘った。海賊の三人と、昨日殺された奴隷を埋めるためだ。
「彼、アベベ。友達。一緒にこの島、来た」
そう言うと、その遺体を穴に入れて、砂をかけた。その後近くにあったサンゴ石の塊を、一個だけ墓標代わりに載せると、何やら彼らの言語で弔いの言葉をかけた。マルコも静かに目を閉じて祈りをささげるのだった。
 次に海賊三人は、穴に埋めても軽く眼を閉じて祈っただけで、墓標は立てなかった。それは、ここに埋めたことが、後から来た海賊にバレないようにするためだった。

「マルコさん、この島 出る、出来るか?」
「マストが無い小舟じゃ、難しい。でもひょっとしたら、洞窟に何かあるかもしれない」
「洞窟?」
「海賊たちが、宝を隠しているらしい」
「どこにある?」
「大体の場所なら・・・」
 マルコとクンタは海賊から拝借したブーツを履いて、斧を担ぎ、森へと入って行った。昨日来た岩場も、ブーツのおかげで、スイスイと進むことが出来た。
「この辺に洞窟があるはずなんだ」
しかし、辺りを見渡しても洞窟があるような岩山なんか見当たらなかった。マルコはこの場所はやはり細身の海賊がサボっていただけで、洞窟は他の場所にあるんじゃないかと考えた。
「洞窟、ない、探すは大変、海賊の仲間帰って来る」
「うん。そうだな。あまりこの島に長くは居られない。今日にでも島を出よう」
そう言って、岩から地面に下りようとしたところで、
「危ない!」
クンタがマルコの手を引っ張って止めた。マルコが下りようとした地面には、岩の穴がぽっかりと口を開けていたのだった。
「これだ! 洞窟は地面の中だったんだ!」
二人は顔を見合わせて喜んだ。
 穴の中に下りて行くと、梯子が掛けられており、やはり海賊たちが利用していたのは確かなようだ。そこはサンゴの石灰岩層に雨水で浸食された洞穴になっていた。二人が底に下り着くと、湧き水が溜まった池があり、二人は喉を潤すことが出来た。日の届きにくい場所にはロウソクが立てられており、近くには火打石もあった。
「灯りを点けよう」
マルコはロウソクに火を点けた。するとその先には、木材で組まれたしっかりした小屋があるのが見えた。そして小屋の扉を開けて中を覗くと、そこには密輸品が溢れていたのだ。