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愛情

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その7


秋も半ばになって娘から来たメールは夢ではないかと思うほどの報告で驚いた。何か月か何も勉強をしなかったにもかかわらず中間試験を受けに登校したという内容だった。うれしかったけれど、それがこれからどうなっていくのかわからず喜んでばかりはいられなかった。

それからの年末までの日々は娘にとって緊張の連続だったということだった。期末試験も勉強は一切しないで受けたらしく、それでも卒業の単位の判定ではパスしたと、結果が出てから報告のメールが来た。

冬休みが終り、三学期は半ドンの授業で一月末で授業は終わり、二月は卒業式を待つだけの一ヵ月だった。娘はぶらぶら過ごしている子を見て多少いらいらしたらしいが、私の忠告を守って何も口出しはしなかったらしい。

いよいよ卒業式の日、母娘は出席して、その様子を動画で送り続けてくれた。
名前を呼ばれて卒業証書をもらう場面、校歌を歌う場面、この時私は胸に熱いものがこみ上げてきた。そしてもし、あのまま登校できなかったらこの場にはいないだろうと思い、誰にともなく感謝の気持ちでいっぱいになった。
勇気を出して何も勉強しないまま登校した子に拍手を送ってやりたかった。

卒業祝いには少し弾んで祝い金を送った。

 

作品名:愛情 作家名:笹峰霧子