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老後の大切なもの

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その2


話は変わるが、私の叔母はその昔60歳ぐらいから可笑しな行動をとるようになって、70から80に掛けて次第に痴呆が進行した。

その叔母の生活状態を考えてみると、叔母は美容室を開業していた50歳あたりもおしゃべりをするのが好きで、お客さんの髪をいじりながらもしゃべっていたらしい。その後夫が亡くなってからは私の母と叔父が経済的な面倒を看ていたが、私に次女が生まれた時、守りをするといって私宅の別棟に住むようになった。おしゃべりが好きな叔母にはうってつけの仕事だったようだ。

孫が小学生になってからお守りをする必要がなくなると、話し相手を求めて近所の家や少し遠い知人を訪ねたりしていたようだ。
老人がおしゃべり好きというのは他人からは嫌がられるものだ。特に親しくもない家に菓子を持って訪ねて、そこの主人が菓子だけ受け取って玄関払いされているのを見た人がいる。叔母の痴呆の進行状態を身近に見ているので、おしゃべりだけが趣味という老人は先行が危ないと睨んでいる。

作品名:老後の大切なもの 作家名:笹峰霧子