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はなもあらしも ~真弓編~

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「でも、私、真弓さんの足を引っ張るような事だけはしたくないんです! 日輪道場の代表がそんなもんなのか、なんて思われたくないし、足を怪我したから実力を出せなかったとか、負けた時の良い訳にしたくないんです!」

 ともえは卑怯なやり方で試合を汚そうとする笠原道場に腹が立っているはずだ。だが、きちんと試合で決着をつけようと決心しているのだ。自分は日輪道場の人間ではないのに、ともえはこれまで必死になってくれている。その気勢が真弓には嬉しかった。

 そして何より、真弓の足を引っ張りたくないと、自分の事を考えてくれるともえの心遣いが真弓の心を暖かくした。

「ともえちゃんの気持ちはすごく嬉しいよ。僕だって試合には勝ちたい。だけど、ともえちゃんの怪我が良くなる事の方が今の僕には大切な事なんだ……」
「真弓さん……」

 自分で言いながら、真弓はやはり戸惑っていた。何故こんなにもともえの事が気になるのか。
 目の前で何か考え込むともえの姿を見下ろしながら、真弓はどこか遠くでその姿を見つめている感覚に落ちていた。
 明るく真っ直ぐなともえは、年の近い美琴とはまた違った性格の少女だ。自分より二つ下と年も近いのに、どこか危なっかしくてそれでいて話していると楽しい気持ちにさせられる。
 ふと顔を上げたともえの視線とぶつかり、真弓はドキリとした。

「あの、足を使わないでも出来る練習法ってありますか?」
「うーん、そうだね……ゴムを引っ張って腕の筋肉を鍛えたり、イメージトレーニングっていうのも結構効果的だと思うけど」
「いめーじとれえにんぐ。ですか?」

 首を傾げるともえに真弓はくすりと笑い、説明をした。

「頭の中で自分が弓を射る姿を最初から最後まできちんと描くんだ。これを繰り返す事で、いい情景が頭と体に刻み込まれ、本番でもいい状態へ持って行く事が出来るらしいよ」
「へえ! すごいですね! うん、じゃあ今日は大人しくゴムとそのいめーじとれえにんぐをやります! ―――あの、出来れば道場にいたいんです、邪魔にならないように隅っこにいますから! ダメ、ですか?」

 恐る恐る尋ねるともえに、真弓は微笑む。

「いいよ、その代わり、ともえちゃんが辛抱出来なくなって弓を握らないように僕が監視役として近くにいるからね」
「はあい!」

 嬉しそうに笑って練習用のゴムを探すともえの後ろ姿に、真弓は朝から感じていた得体の知れない感情に気付いた。
 そうか、僕はともえちゃんという女性に惹かれ始めているんだ。まだ知り合って間もないというのに、彼女は不思議な女性だ―――

 ともえの力になりたい。

 そう、思った。