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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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おーまいごっど【完結版】

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第参話 誰のお願い



「じゃ、僕の願いを叶えてくれるんですね?」
セニョールが嬉しそうに聞いた。
「いいえ。叶えません!」
「・・・へ?」
セニョールは固まった。

(からかわれてるのかな?
 ・・・いや待て。
 今魔法みたいな神力を見たよね。
 神様なのは嘘じゃなさそうだよね。
 ・・・じゃ、お願いを聞いてくれるんじゃ・・・ないの?
 なんで?・・・なんで?・・・)

「なんで?」

 神様は賽銭箱の手前まで、ゆっくりと近寄って、
「お願い事をできるのは、君じゃなくって・・・あなた!」
セニョールに向けた視線を、一気にセコビッチに向け、指差しながらこう言った。
「当たりを引いたのは、あなたです!」
セコビッチは驚いて、
「当たり!?」
「そうです。そうなのです。お願い事と同時に鈴が落ちると、それは当たりの合図なのです」
「うそ? そんな話聞いたことが無い」
「そりゃそうです。今日、僕が決めた新しいルールなのです」
神様は胸を張った。
「それって、この神社だけのローカルルール?」
「参拝者のためを思って考えたユニークなアイデアです」
「ま、確かにユニークだな」
セコビッチが半分呆れたように言った。
「じゃ、何でも願いを叶えてくれるんだな」
「いいえ、そんな厚かましい」
神様がそう言うと。
「じゃ、何を叶えてくれるのよ!?」
「忘れたのですか? もうお願いしたでしょう」
「・・・・・・」
「どれどれ・・」
神様は胸のネクタイを手で持ち上げて、それを杓に戻した。そしてその表面で何やら確認している。