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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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おーまいごっど【完結版】

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第捌話 罰当たり



「じゃ次の願い事は、結衣さんとの幸せな人生を」
 セニョールは拝殿に手を合わせた。結衣は照れて、またセニョールを叩きそうになって思い止まった。その様子を二人とは距離を取って見ていたセコビッチと神様は、
「ちょっと待てよ、鈴が落ちれば当たりだよな。あの鈴を無理やり落とせばいい・・・」
「無理ですよ! そんなことしたら罰を当てます」
「ちぇっ、ちょっと言ってみただけだよ」
「でもセコビッチさんには、もう天罰が一つ当たってしまってますけどね」

「・・・・・・。」

 セコビッチは動きを止めた。
「俺に天罰が? なんで?」
「自らの行いに対して罰が当ったのです」
「俺も呪われてんのか? 神社に呪いはないって言ってたじゃないか」
「罰は神の戒めです。悪霊の呪いとは違います。身に覚えないですか?」
「いや、別に、その、無いわけじゃ、あれ? なんだろ? 誰にでも多少の悪事って言うか・・・」
「多少どころではありません。これを見てください」
神様は、ネクタイを持ち上げて、また杓に変えた。そしてその表面を指でスクロールしながら、
「どれでしたっけかな・・・あった。これです、これ」
杓をセコビッチに向けると、手水場で傷口の血を洗うシーンが動画で再生されている。
「あ、これさっきの。隠し撮りしてたのか?」
「隠し撮りだなんて、神はいつも見てるんです」
「でも、これのどこが?」
「解りませんか? 神聖な神社で血を洗うなんて、あってはならないことですよ」
「いやいやいや、怪我したんだからそれくらい許してよ」
「何てこと言うんですか? これは神聖なお清めの水なんです」
「たかが水道水だろ」
「神聖な力が秘められた水道水なのです」
「なんだよそれ。じゃ、どんな罰が当たるって言うの?」
「それはまだ、天界で審議中のようですけど」
神様は杓の画面を見て調べている。