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泉絵師 遙夏
泉絵師 遙夏
novelistID. 42743
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久遠の時空(とき)をかさねて ~Quonฯ Eterno~下

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 フーマが慌てて駆け寄る。
「だ……だい……じょうぶ……」
「大丈夫じゃないだろう、お前」
「ほん……っとに」
 フーマが溜息をつく。
「くだらないことに強情を張るな」
 暖野は肩で息をしながら、ぎこちなく頷いた。
「あ……」
「気を静めろ。今は何も言うな」
 暖野が言いかけるのを、フーマが制する。
 胃のむかつきを必死で抑えながら暖野は考えた。彼の前で醜態を晒すわけにはいかない。
 いや、そうではない。ここへ戻った時は何も気持ち悪さはなかった、船に乗っていたことを思い出した途端に――
 だめ、それを考えたら――!
 意識をこの世界に集中させる、そしてすぐ傍にいるフーマに。
 船酔いの不快感が遠ざかって行く。それに代わって意識に上って来たのは――!
「カクラ君!」
 暖野は真っ赤になった。別の意味で頭の中がくらくらしそうだ。
「やっと戻ったか」
 フーマが言った。
「あなた、一体――」
「すまない。悪いことをしたと思っている」
「何のことを言ってるの?」
 いきなり謝られて、暖野は戸惑った。「それと、みんなは? 元通りになったの?」
「そうだな。順を追って説明しないといけないだろうな」
「私がいない間に、何が起こったの?」
「ああ、そのことも話す。だが――」
 フーマはやおら暖野に頭を下げた。「すまなかった。この通りだ」
「ちょ……。私には何が何だか--」
 暖野は混乱した。「ねえ、とにかく頭を上げてよ。そんなんじゃ、何も分からないじゃないの。それに、何で謝ってるのよ」
 フーマは頭を下げたままだ。その姿勢のまま何も言わない。
「それって、私にキ――」
 頭に血が上る。それを私に言わせるの?
「そう、俺はお前の唇を奪った」
 自分で言うのも恥ずかしいが、その当の相手から言葉にして聞かされるのも同等かそれ以上に恥ずかしい。
 暖野はまともにフーマの顔を見ることも出来ず、俯いてしまう。
「あの時は、そうするしか方法がなかったからだ」
 フーマが言う。顔を上げないままに。
「え……?」
「だが、分かってくれ。俺は決して――」
 そこでフーマは頭を上げて、真っ直ぐに、暖野の瞳を見つめて来た。