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泉絵師 遙夏
泉絵師 遙夏
novelistID. 42743
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久遠の時空(とき)をかさねて ~Quonฯ Eterno~上

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 何ものかが彼女たちをここへ来させたのだろう。そうでなければ、あの岩場を無理に越えてまで進もうとした理由が見つけられなかった。それはルーネアだったかも知れないし、別の何かかも知れなかった。
 暖野は遠く湖に視線を投げた。
 マルカはあの聖堂にあるものについて、何か感じるものがあったらしい。
暖野が感じたあのとてつもない感情の高まりと打ちのめされるほどの――
 決して届かぬ叫びの渦――

 助けて――!

 お願い――

 私は――私は――


 ここにいる……


「ノンノ」
 呼びかけられて我に返る。
「今のは……?」
「また、何か見たのですか?」
 マルカが訊いてくる。
 暖野はそれに、かぶりを振って応えた。
「ううん、べつに。形はなくなっても、想いは残るのかもね……」
 風が、少しだけ強く廃墟の草原を駆け抜けた。