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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
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おしゃべりさんのひとり言【全集1】

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その64 意味不明な話



物語って誇張して書かれているのはよくあると思うんですけど、ストーリーに無理がある場合って、書いてる作家さんはどう思ってるのか気になった。

アメリカのドラマを見てると、いつも思うんですけど、ラストシーンがあっけない。
刑事ものだと、ずっと追ってた犯人を逮捕したらすぐに終わる。余韻とか後日談とかが少ない。
日本のドラマだと、物語の本筋が解決した後、やたらエピローグが長い。BGMで映像を持たせてる感じ。
この違いって何かわからないけど、脚本家はBGMを長く、意味のないカットをつなぐことを想定して書いてるのかな。
まさかの時間合せってことなのかもしれない。
アメリカの製作ってすごい長い期間かけて撮影してるみたいだし、脚本も練りに練る時間があるんだろう。
日本のドラマじゃ、撮影して10日後に放送ってこともあるらしいから、じっくり書けないのかもな。
で、絶対有り得ないラストシーンってのが、犯人の自白とか、主要キャラクターの死。

でもこれらは、商業目的で成功すればそれでいいんだろうけど、原作自体はどうなってるの?
そんな面白くない結末が書かれてて、人気が出るはずないと思うのに、その上でドラマ化って有り得るのかなぁ?

この納得いかないストーリーの原点って言えば、『昔ばなし』なんだ。
『浦島太郎』を考察してる人って多いでしょ。
なんで、浦島太郎は玉手箱を持たされたのか。

カメを助けて感謝こそされていいはずなのに、最後に爆弾持たされて帰されるようなものじゃない。
浦島君は竜宮城で相当おイタして、乙姫ちゃんの反感を買ったとか?

地上に帰ると何百年か忘れたけど、時代が変わっていて孤立してしまう浦島君への思いやりか。にしては無茶苦茶過ぎない?
帰る前に事情を話して、引きとめてやれ。いや、その前にそんな竜宮城に招待するな。

そう思うことを踏まえて、なぜ?って言うことを考えるのは面白い。
乙姫ちゃんが浦島君のことを気に入ったのに、「地上に帰るって!?」
「私を振るなんて許せない! 思い知れ!!」ってことも有り得るな。

または、「こんなとこで遊んでばかりいられない。地上に帰らなきゃ」って考えた浦島君。
乙姫ちゃんは、その気持ちを尊重する。
(でもきっと浦島君。私のこと忘れられないわ)そう思う乙姫ちゃん。
浦島君は地上に帰ったものの途方に暮れる。心のよりどころとなる乙姫ちゃんにはもう会える手段はない。そこで玉手箱。
ふたを開けると白い煙は有機化学物質。脳をやられ浦島君はおじいさんのような痴ほう症になって、苦しみから解放されました。とさ。
ま、この場合、乙姫ちゃんからすれば、浦島君はただのお客さん。帰っちゃえば別にもう気にならない存在だったってことだな。
ハッピーエンドは思いつかない。浦島太郎は、恨みましたろう。

『竹取物語』はどうだろう。
子供に恵まれなかった老夫婦のもとに赤ちゃんが!って、心和む始まり方だけど、竹の中から出てくるんだよね。
何この設定?って思うけど、桃から生まれるやつもいるくらいだから、このくらいは目をつむろう。
でも海外の人ってこの設定を結構笑うんだよね。その時、これを受け入れてしまってた日本人の感性が恥ずかしくなった。

で、かぐやちゃんは可愛く育つ。清楚で美麗なイメージだけど、意外にそうじゃない。
おじいさんおばあさんを親代わりにして、感謝の念は持ってるらしい。
それで婚期がおとずれ、可愛いと評判のかぐやちゃんを娶ろうと、お金持ちや貴族が押し寄せる。
そんな彼らに貢いでもらって、おじいさんおばあさんに楽な生活をさせるところは、親孝行者のイメージだけど、その後とんでもない行動に出る。

結婚を迫るパトロンたちに無理難題を申し付けた挙句に、月にとんずら。
やってることは結婚詐欺で、ありったけ盗り物語。
騙されたおっさんたちは、竹取一家に巻き上げられた財産をきっと老夫婦から取り返すだろうな。悲惨な結末だ。
こんなストーリーを美談のように映画化されたりしたけど、それを見た僕もこんな不条理に気付いてなかった。
それが演出の力だね。

つまらない物語でも、映像が付いちゃうと、頭で考えなくなってしまうってことなのかなって思う。
子供の頃に知った昔ばなしも、絵本で見たほんわかイメージしか残ってないし。
見た物しか信じない人間の特性が、浮き彫りになったような気がするな。