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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
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おしゃべりさんのひとり言【全集1】

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その85 リスクとスリル



ストーブで一酸化炭素中毒になったり、潜水に挑戦して窒息しそうになったり、死と隣り合わせなことって、誰にでもよくありますよね。
ん?・・・あるか?
最近のひとり言で、僕自身の経験から、こんな死にかけ体験を書きましたが、その時僕は、死ぬなんて思っていません。まったく想像もせず、安易に行動した結果、そんな経験をしてしまいました。つまりバカなんです。

Youtube見てると、危険そうな動画って多いですね。視聴者をヒヤヒヤさせるような『不安全行動』ってより『危険行動』の動画。
ビルの屋上でパルクール。クレーンの頂辺で懸垂。高っかい煙突の上で逆立ち。
こんなバカ出来る?
やってる人は、出来るんだよね。だからやってるんだ。
出来ない人はやらない。これ当たり前。
でもこういうことを、「出来る人はやる」ってのは、普通じゃなさそうに思うけど、やってる本人は全然平気なんだろうから、心配は要らないんだ。
本人はちっとも不安そうな顔してないもん。
でもその人に想像力が乏しいと、思わぬ事故が起こることも。
ちょっとした失敗動画を見てると(当たり前だろ)と突っ込みたくなると同時に、大体そんな人には『バカの臭い』が漂ってる。かつての僕のように・・・

中学の時、校舎の3階の窓から、雨どいを伝って地上まで降りたり。
高校の時、体操部メンバーで、校舎2階のバルコニーの手すりの上で、平均台っぽくバック転でシンクロしてみたり。
遠足の登山中に落差何十メートルか崖の岩の上を、ぴょんぴょんと跳んで渡ってみるとか。
でもそこで、その頃自主製作していた映画の撮影もついでにやって、崖の斜面を転がり落ちるシーンとして実際に飛び降りたら、石も一緒にゴロゴロと落ちて来てしまい、見上げた瞬間、30センチくらいのが顔に当たりそうになった。反射神経で手で避けたけど、左腕には4針ほど縫った痕が今も残ってる。『スリル』を楽しんでたら、そこに思わぬ『リスク』もあったてことだ。

こんなバカばっかりやってて、その原動力が何かって言うと、「目立ちたいだけ」だったんだと思う。(だからバカなんだ。『リスク』に気付けてないことがバカなんじゃない)
悪友に囃し立てられたり、当時の彼女は心配して泣きそうな顔になるだけだけど、特に仲が良かった女子(度々僕の小説に出てくる親友の恵美莉)が、付き合ってるわけでもない僕を、真剣に怒ってくれてたのが嬉しかったり。単に注目を集めることが好きだったんだな。
そんな時の僕は、そうすることが、『危ない事』だなんて、これっぽっちも思っていなかった。
(一か八かやってやろう)なんて下手な挑戦なんかじゃなく、(こんなの屁でもない)くらいの感覚でした。
つまりそれは『リスクのないスリル』として、楽しんでただけなんです。ジェットコースターに乗ったりするのと一緒の感覚なんです。

高所恐怖症でない限り、ジェットコースターって『怖くもなんともないもの』のはず。
急降下や急加速によって、テンションが上がるのを楽しんでるだけで、僕はあんなもので恐怖を感じるなんてありえない。安全な遊具のはずだから。
逆に、怖くて仕方ない人を無理に乗せようとも思いません。同じテンションで楽しめないだろうし、きっと恨まれるから。
前述のような数々の危ない経験も、一歩間違えば死、みたいなことでも出来てしまうのは、自分に自信があるからだ。他の誰かがやろうとするのを見たら、きっと心配なはず。

車の運転もそう。猛スピード出してる車を見ると(あいつ大丈夫かな?)と思う。
僕は人を乗せてると無茶しない。乗せてなくても、周囲の人に『リスク』が及ぶような運転はしない。これは当たり前で、常識人だって思えるでしょ。でも一人で誰もいない場所でなら、何するか分からんのよ。僕ってやつは。
自己責任って考え方なのかな? 他人に迷惑がかかるようなことには注意してる。でもそうじゃない場面では、自分の限界知りたくならない? これで僕は無謀なこともやってた気がする。
例えば、バイクで高速走ってて、何秒目を瞑れるか? あぁバカな挑戦!

でも本当に危ない経験って、自分でコントロールできない状況で起こるものだ。自分から求めていくもんじゃない。これは『リスク』と呼ぶべき。
運転免許取りたての頃、峠道を安全運転で走っていたら、狭いカーブで対向の大型バスがセンターラインオーバーして来た。初心者マークの僕が正面衝突回避したらガードレールすれすれ。これはテクニックじゃなくて偶然、避け切れただけ。
雨の日の高速走行中、隣のトラックが巻き上げる水しぶきを踏んで、ハイドロプレーニング現象でこっちがスリップ。タイヤ空回りでエンジンの回転数が激上がり。アクセル戻したら車がフニャフニャふら付いたけど、直線だったおかげで、どこにもぶつからずタイヤのグリップが復活して、事なきを得た。
遊園地の『バイキング』って乗り物で、肩から締める安全バーが、勝手にどんどん締まって(苦しぃ・・・これ壊れてるんじゃない?)って思ってたら、その日、そのバーが外れて客の落下事故発生。
ビル工事してる現場を通りかかったら、コンクリート片が防護幕の隙間から飛んで来て、髪の毛をかすめて行ったことも。
高校の時、あの日航機123便に乗るはずだったのを、事情で予約変更したお陰で、僕は墜落事故を免れた。

世の中、こんな『リスク』は往々にしてあるわけだから、『スリル』を楽しむのなんか可愛いもんだって気がします。
冒頭の一酸化炭素中毒は『リスク』で、潜水は『スリル』。リスクは降りかかって来るもので、スリルは進んで味わうものだからね。
この違いを無意識に理解していたから、無茶してるようでも大丈夫で、ホントに危険なことには近付かない感覚を持ち合わせてたんだと思う。そうじゃなければ、単に運がいいだけってことになってしまう。
でもこの年じゃもう、どっちも経験したくなくなったけどね。