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新紙幣にこと 紙幣で楽しむ

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 新紙幣(F券)の図案が決まりました。

・一万円券は渋沢栄一 裏面は東京駅丸の内駅舎
・五千円券は津田梅子 裏面は藤の花
・千円券は北里柴三郎 裏面は神奈川沖浪裏

 特筆すべきは五千円券の津田梅子でしょう。
 日本の紙幣に女性の肖像が登場するのは津田梅子で三人目になります。
 過去のふたりは、

・神功皇后
 明治14(1881)年の壱円券
 明治15(1882)年の五円券
 明治16(1883)年の拾円券

・樋口一葉
 平成16(2004)年のE五千円券

 これ以外では、肖像ではありませんが平成12(2000)年発行のD弐千円券の裏面に源氏物語の紫式部がひっそりと登場してます。
 なぜ男性が多かったかというと、偽造防止のため紙幣に使う肖像画にはシワやヒゲなどが多い年配の男性がふさわしかったのです。
 また、顔の細かな凹凸を表現するために多くの画線を用いるため、女性の肖像を美しく印刷するのが技術的に難しという理由もありました。
 五千円券の樋口一葉をご覧いただければ女性の顔が難しいということがお分かりになると思います。男性に比べ少々のっぺりとしていますね。

 新紙幣の原案は出来上がってますのでこれから特定独立行政法人国立印刷局の図案官がデザインを仕上げ、退官前の彫刻官が原版を彫り上げます。新紙幣は退官する彫刻官にとって最後のご奉公になるのです。
 そして印刷局が誇るダブルオフセットザンメル凹版印刷機で約4年の歳月をかけて初期発行数(数十億枚)を印刷します。ちなみにこの印刷機は日本の小森コーポレーション製です。
 緻密な印刷精度が要求されるため印刷ロールのシャフトは特注になります。シャフトメーカーは警察庁のSATの狙撃銃(豊和M1500ライフル)を製作している豊和工業です。その銃身を加工するマシンで印刷ロールを造るわけです。それ程の精度があって初めて世界一偽造が難しい日本銀行券ができるのです。
 印刷技術のほかにも偽造防止策として「独特の手触りで耐久性にも優れた世界で唯一の紙幣専用紙」をあげることができます。
 この製紙技術がない国の紙幣は、毛羽立ったり破れたりとボロボロになってしまいます。それの対抗策として最近はプラスチック紙幣に切り替える国も多くなりました。
 そんな偽造防止策を施された日本銀行券の偽造率は、英ポンド(£)の500分の1、米ドル($)の275分の1、ユーロ券(€)の137分の1というとてつもない数値です。
 欧米のキャッシュレス化が進んだのは、大量に出回る偽札も大きな要因です。

 現行のE壱万円券(平成16年発行)の福沢諭吉ですが、実は昭和59年のものを流用しております。一部(襟など)を変更はしましたが、伝説の彫刻官「押切勝造」が彫り上げたものです。今回の新紙幣で押切勝造の手による紙幣が消えてしまうのは少々寂しいですね。まあ、手元に置いておけばいつでも押切勝造の技術を見ることができるのですが……。1ミリの幅に12本もの線を引いたという並外れた技術を持つ、押切勝造の作品を皆さまも楽しんで下さいまし。