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「美幸さんに嫌われないように頑張るのよ」

「うん、母さんもいい人見つけろよ」

「美那子には話してないけど課長さんに誘われているの。不倫になっちゃうけど怒らないでね。お母さん、最後まではしないから・・・」

それは三枝との付き合いとは違うと言いたかったのかも知れない。

「じゃあ、不倫じゃないよ。ボクや美那子に気を遣うことはないよ。もう大人なんだし。それより再婚したいのならそれなりに相手を探すようにした方がいいよ。母さんなら絶対に見つけられると思う。顔や社会的な地位じゃなく心から愛してくれる人が良いと思うよ」

「あら、大人の答えね。身体も愛して欲しいって・・・ゴメン、変なこと言っちゃった」

「母さんは美那子と一緒でスケベだね」

「母親に向かってなんという事を！美那子が可哀想だし。あなたは真面目過ぎるというか、純真すぎるのよね。もっと男らしくなれると美幸さんも喜ぶよ。そういう事も男女には大切なことなんだから」

「美那子はこの先好きになった男性との付き合いが始まったら、母さんと同じでのめり込む気がする。おれは美幸とは適当な距離を置く。結婚なんてまだまだ考えられないしね。積極的な女性も今はいいけど、基本好きになれない」

「そうね、男性はうぶで純真な女性が好きだって聞くし。秀一郎は女性を身体ではなくほかの事で満足させることが出来ればそれも魅力なのかもね」

「ほかの事か・・・経済的なことは大きいって父親を見て感じるし、三枝さんを見ても感じる。両刀遣いが本当は最高なんだろうけど、おれには無理だな」

「ううん、出来ると思うよ。お父さんの才能と私の感性があるんだもの」

「ええ？母さんの感性って・・・おれはそんなんじゃないよ」

「そんなんって酷い言い方ね、もう。やっぱり鍛えてあげようかな～」

「やめてくれよ。美幸でこりごりなんだから」

「あら、そんなに責められているの？かわいそうに。ちょっとお母さんからクレームを言わないといけないわね」

「本当にそう思っているならやめてくれよ」

「バカね、言うわけないじゃない、ハハハ～」

美樹はこうした息子との会話がとても楽しいと感じていた。