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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「美那子」 真実 三話

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美樹は返事に困ったが解りましたとは言えない。

「何を言っているの、そんなこと言う方がおかしいわよ」

「お母さん自分の胸に手を当てて本当にそんなことはありません、と言えるの?」

「何を誤解しているのか知らないけど、秀一郎は本当の息子よ。好きという感情はあるけど、それは母親としての当たり前の気持ちだけ。美那子にだって同じように母親として好きという感情があるの」

「そう、本当の親子だから男と女の気持ちにはならないという事ね。私は本当の兄妹じゃないからお兄ちゃんのことが好きになったのね。ずっと考えていたの、どうしてお兄ちゃんのことが好きになったのかって。やっとわかったの。だから離れることにした。私たちが永久に兄妹であり恋人同士であることを選択できる方法は、一つしかないって」

「美那子・・・本当の兄妹なのにそんな風に考えるだなんて悲し過ぎるよ。ずっと秀一郎はあなたのことが大好きだし、美幸さんと結婚したとしてもあなたのことが心の中では好きよ。それは美幸さんも解っていると思うの。あなたに彼が出来てやがて結婚しても秀一郎のことは女として忘れられないと思うでしょ?お互いに兄妹として、そして思いを寄せあう男女としてずっとずっと助け合って生きていって欲しいと願うわ」

「お母さん、ありがとう。調べたりはしないけど私は三枝さんとお母さんの子供だと信じている。恥ずかしくもないし、軽蔑もしない。お母さんが好きになった人との子供だから自然なことなのかも知れないって思える。それとね、三枝さんがお母さんと付き合いたいって言っていた。反対はしないけど、何も知らないで働いている千佳さんの事を考えると複雑な気持ちになる。私は誰にも今日のことは話さないから、安心して」

美樹はもうここまで来たら何がなんでも違うと言い切ることはやめようと思った。美那子の気持ちを考えると同じ女として辛さがわかるからだ。
秀一郎との関係も止めると美那子に約束しようと思った。そして、自分は言われたようにもっと積極的に恋愛をして精神的に幸せになれれば家庭も本当に平和に戻ると考えるようになった。

こんなタイミングを見計らっていたのだろうか、次の休みに食事に行こうと職場の本宮課長に誘われた。
三枝とは好きでも交際は続けられない。
本宮は妻がいる。最初の頃は否定していたが、再婚するという気持ちでなければ自由に恋愛をすることは今の自分には良いのかも知れないと考えるようになった。

そして、秀一郎には謝って二度と変なことはしないと話した。
笑ながら本当のお母さんに戻るのなら良いことだと言われて二人は最後の抱擁を交わした。