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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「美那子」 禁断 三話

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「もし美幸さんが本当のことを言ったら私怒るからね、お兄ちゃんが嘘をついていることに対して。私はお兄ちゃんにウソをついたことは内緒のアルバイトだけだったけど、お兄ちゃんはたくさんウソをついている。兄妹ってウソつき合う関係なの?」

「何が嘘だというんだよ。美幸に聞けばいいよ」

「私には隠しているみたいだけど知ってるよ。お母さんとのこと」

「はあ?母さんとのことって何?」

「仲良くしているという事」

「親子だからな。当たり前だよ」

「そういう事じゃない!お母さんとお兄ちゃんが私に隠していることは」

美那子は何が聞きたいと思っているのかようやく秀一郎は気付いた。

「何も隠してなんかいないよ。気にしすぎるんじゃないのか。疑ったら誰でも限がないよ」

「じゃあ、三枝さんに聞く。お母さんには内緒にしていて。口止めされるとイヤだから」

「三枝さんに?何を聞くって言うんだい?」

「お母さんとのこと」

美那子は母親と三枝が男女関係になっていたことを確信している。そして自分のことはひょっとしたら父親との間ではなく三枝との関係で生まれた可能性が思い当たるのだ。
一番の特徴は肌の色と堀の深い顔立ちだ。高校生になってより顕著に表れている。
美人に産んでもらえたことは嬉しいが、思いは複雑だ。

秀一郎はこれ以上話すと答えられなくなると思い、映画の話に切り替えた。
美那子は兄が動揺していることを見抜き、さらに自分の考えが正しいと思うようになった。

映画を観て帰ってきた二人の表情を見て美樹は怪訝に感じた。
笑顔が無かったからだ。
話をすることも無く二人はそれぞれの部屋に入った。美那子の部屋を美樹はノックした。

「入ってもいい?」

「うん」

「静子ちゃんはうまくいったの?」

「たぶん。二人だけでデートしたいって別れたから」

「そう、良かったじゃない。愛のキューピット役になったのね美那子は」

「どうかな。静子の好みのタイプじゃないから続くかどうかは分からないと思う。ねえ、聞いていい?」

「そうなの。静子ちゃんはどういう男性が好みなのかしらね。いいよ、何が聞きたいの?」

「静子はお兄ちゃんが好みのタイプ。中学のころからそう話していたからね。美幸さんとのことが無ければお兄ちゃんを紹介すれば飛びついたと思う」

この後美那子が母親に聞いたことは彼女の人生を大きく変えるきっかけとなってゆく。