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不老不死ロリの国 第四部分

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「楽しいね。吝奈ちゃんは、しゅくはいのライバルだから。」
「それを言うなれば宿命でちゅわ。祝杯をあげるのはワタクチでちゅし。」
箱子は大きく振りかぶって鉄球を投げた。
「来ましたでちゅわね。こんなへなちょこフニャフニャちん、じゃないタマはこうしてくれまちゅわ。」
正しい構えから繰り出されるバット軌道で鉄球の真ん中をジャストミート。しかし、球威に押されファールとなった。それを真剣な目で見つめる昆太。
「互いに全力プレーだが、身長ちんちくりんなロリが熱血している。これこそ、ロリ王得ってヤツか。眼福、眼福、ワハハハ。」
 昆太が容姿幼女と打球速度プロのギャップに萌えている間に激烈プレーは続いている。
投げた、ファール、投げた、ファール。この繰り返しである。
「さすが吝奈ちゃんだね。次は全力でいくよ。」
「やっぱり本気じゃなかったということでちゅわね。では本気モードを正面から堂々と受けてたって差し上げまちゅわ。」
「いい反応だね。じゃあ、これでどうだ。えいっ!」
『ギュルルル~』
 これまでとは違う空気の切り裂き音と共に吝奈に飛んでいく鉄球。
「全力でこれでちゅの?完全に拍子抜けでちゅわ。カキーン。」
 これまでよりも速いスイングで、鉄球の中心を叩いた吝奈。
『ギュルルル。バキッ。ドバー。』
 吝奈の額がパックリ割れて、そこから夥しい量の赤い血が流れ出ている。
 鉄球は吝奈の足元に転がっていた。鉄球には鎖がついていて、その先には大ナタがついていた。
「痛いでちゅわ。てか、これは大反則でちゅわ。でも箱子さんの全力っていうのは反則を犯すということでしたでちゅわね。忘れてましたでちゅわ。迂闊でしたでちゅわ。」
と吝奈が言ってるうちにもうひとつ鉄球が飛んできた。
「反則の反則でちゅわ。」
「反則の反則はセーフという意味になるよ。幼女でもわかる理屈だよ。」
「それは違いまちゅわ。やっぱり幼女思考はその域を出まちぇんわ。反則に反則を重ねただけで、累積したのでちゅわ。」
文句を言う吝奈に対して、お構いなしに鉄球を投げまくる箱子。哀れ吝奈は、全身傷だらけになっている。
「もう許しまちぇんことよ。堪忍袋のそこが破れてお宝がなくなってしまいまちたわ!」
怒ることで冷静さを失い、ランダム投下の鉄球が吝奈の顔面へ。すでに割れていた額から骨がチラ見せしていたところに当たって、そこが砕けて、さらに奥の白く柔らかい部分に太い針が刺さり、倒れた吝奈。これは致命傷になったのか、動かない。
「吝奈ちゃん、死んだね。でもそのうち生き返るから放置プレイでいいよ。」
罪の意識のない箱子は、軽い達成感に浸っている様子である。
木憂華と吝奈の死を間近に見た昆太は、あまりにあっけない死の訪れにショックはなく、むしろ無常観に支配されていた。
「お兄ちゃん、どうかしたの?死ぬなんて、日常茶飯事だよ。まさか、死の回数のことを気にしてるの?そんなの、市長の戯言だよ。・・きっと。」
断言できない箱子の顔をじっと見ている昆太。箱子は昆太の様子に少々動揺して、微妙にたじろいだ。
『ガサッ。グサリ。』
「うっ。」
箱子の体から白い剣が飛び出した。
「箱子さん。これでおあいこでちゅわ。不意打ちはなかなか気分がいいものでちゅわね。これからのバトルにも取り入れしまちゅわ。バタッと。」
吝奈は自分で断末魔音を発して果てた。
死んだふりの吝奈は、牙つき鉄球で箱子の心臓をひと突きして、リベンジを成し遂げたのである。これで三人幼女はすべて絶命した。あとはいつも通り復活するのか、あるいは市長の主張の結末を迎えるのか、二者択一となる。
箱子は死ぬと時折夢を見る。
「不老不死っていうけど、ずっと前のこの国は不老不死じゃなかったんだよね。あたしは生まれた時から不老不死だったけど、親は違ったんだよね。今、ここにお兄ちゃんが来てるけど、昔も同じようなことがあったっけ。
ある時、どこからともなく、男の子が紛れ込んできた。顔とかあまり覚えてないけど、お兄ちゃんに似ていたような気がする。
あたしと同じぐらいの年に見えた男の子は、噂の男子と違って怖くなくて、むしろすごく優しくて、あたしはこの男の子が好きになった。男の子は普通の人間だったのか、どんどん成長して、身長が175センチぐらいになった。しかしあたしは幼女のまま。思春期を迎えたらしい男の子は、当然のように他の大きな女子に興味を持つようになった。といってもこの世界には幼女しかいないのだから、インターネットとか通販とかで普通の女子高生とかの情報収集にやっきになっていた。当然あたしと遊ぶこともなくなり、元の世界に帰りたいと毎日嘆くようになっていた。
『そんなに大きな女子がいいの?あたしじゃ、ダメなの?』
恋の駆け引きとかできないあたしは、直球を投げるしかなかった。
『そんなの当たり前だろ。僕は普通の人間だ。ロリコンなんかじゃないんだからな!』
次の瞬間、あたしはナタをひと振りした。赤いボールのようなものが転がっていくのをなんとなく眺めていた。
あたしは自分に絶望して、そのナタで自分の首を斬った。でもやはり死ぬことはなく、殺した記憶も刻まれたままだった。
この世界は死ぬ者がいないので、殺人は罪にならないから法律的には問題なかった。
あたしは自分の不老不死を恨んで泣きまくった。」

どうして今頃になってあの時のことを思い出したんだろう。
起き上がった箱子の背中に温もりを感じた。
「おい、箱子。生きてるか?いやちゃんと生還したのか。よかった!」
「お兄ちゃんが泣きながら、あたしをすりすりしている。でも胸を中心に顔面摩擦をしているので、軽くはたいてぶっ飛ばしたよ。」
「市長の言ってたことは、やっぱり妄言だね。この通り箱子はピンピンしてるよ。しかし、痛かったなあ。」
頭と腰をさすりながら昆太が箱子に近づいていく。
吝奈と木憂華も無事復活していた。
「さっきのは、ちょっと痛かったでちゅわ。脳への直接攻撃は今後禁止でちゅわ。」
「脳だけならいいぢゃん。Qは全身跡形もなかったんだから。修復がどれだけ大変だったかわかるかぢゃん。」
「ふたりも再生できてよかったなあ。市長の吠え面かく姿がみたいなあ。」
「オニイチャン。ツレナイ言葉禁止だよん。もえはどこまでも、オニイチャンを萌え盛らせるためにいるんだよん。」
「市長、存在が消えたかと思ったけどいたんだな。」
「三人とも、よく箱子の顔をみてよん。」
「「「あれ?それなんのアート?」」」
額に『残り5』という数字が刻まれていた。
「オニイチャン、殺し方、わかったよん?」
「わかるか!」
鏡を見ている箱子と吝奈、木憂華は、そこはかとない不安が頭をよぎった。
「ちょっと露骨過ぎたかもだよん。」
「市長、もしかしたら、箱子の額の数字の意味を知ってるんじゃ?」
昆太は眉間に容赦なくシワを寄せて萌絵を詰める。
「オニイチャン、あんまり難しい顔をすると、早く年取るよん。もえから離れていっちゃイヤだよん。」
「茶化すな。まあいい。どんなことかは想像つくし。でもこの想像をただの妄想に変えてやるさ。」
「そう、オニイチャンはそれでいいだよん。じゃあ、次の殺し愛をするよん。」
「殺しに愛とは、泣けてくるよ。」