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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
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ここに来た16 バンクーバー

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16 バンクーバー(カナダ ブリティッシュコロンビア州)



アメリカ西海岸滞在中、休日の度にレンタカーを駆使してドライブを楽しんだ。
オレゴン州を拠点としていたので、北はワシントン州シアトル、南はカリフォルニア州境まで500マイル(約800キロ)を行ったり来たりしながら、あらゆる観光地を見て回ったが、ある時、国境を越えてカナダに行こうと思い立った。

ポートランドから5号線を北上すれば、3時間足らずでシアトルを通過して、途中休憩しても5時間でアメリカ・カナダ国境に着いた。
国境を越える時はいつも緊張する。
国境警備官の質問に2〜3答えるだけでいいのだが、気さくな黒人で、後続車が無いのをいいことに、たくさん話しかけてくる。
私は仕事の休みを利用して、バンクーバーまでドライブに来たと説明したが、それなら「OK」と素通りさせてくれた。
つまり、パスポートもろくにチェックせず、なんと出入国スタンプも押さずにだ。
これで帰りもちゃんと再入国できるだろうか? 海外ではしょっちゅう、こんな不安が付きまとう。

アメリカの標識はマイル表記だが、カナダへ入国すると日本と同じキロメートル表記に変わったので、最高速度の確認に戸惑ってしまう。
車のスピードメーターはマイル表示なのだ。
でも、目的地までの距離感は慣れた単位表記でありがたい。
そこからは30分ほどで、バンクーバー市街地にたどり着いた。
小雨交じりの生憎の天気だ。

どこに行きたいというつもりも無かったので、取りあえず昼食をとろうと、チャイナタウンへ行ったが、屋台でクレジットカードが使えるだろうか。
アメリカドルしか持っていない。一抹の不安がよぎり、両替することにした。
銀行を探そうとしたが、今日は休日だと気が付いた。
どうしたものかと思案しながら車を走らせていると、パシフィック・セントラル駅を見付けることができた。
そこは大陸横断鉄道のカナディアン号や、アメリカへ繋がる長距離路線の始発駅なので、きっと両替窓口があると思って入ってみると、予想的中。1万円だけカナダドル両替に成功した。

路上駐車しようにもお札しか持ってないので、コイン式のパーキングメーターが使えない。昼食はガレージのあるレストランで、チャーハンとピータン豆腐、油淋鶏など、どこででも食べられるものをチョイスしてしまった。
中国語が飛び交う店内は楽しい。中国出張も多い私は、そこそこの会話なら聞き取れている。
その後、一人で食べているのを見て地元民だと思われたのか、店員に中国語で話しかけられて、なんとか返答すると、私の発音がまずいのだろう、英語に切り替えられた。英語もそれほど流暢ではないので、旅行者と分かったようだ。
どこに観光に行けばいいか尋ねると、蒸気時計台、スタンレーパーク、ライオンゲートブリッジなどなど。

取り合えず蒸気時計に興味を持ち、行ってみることに。
でもなかなか見つからない。聞いた場所を地図で確認するも、時計台らしい建物など見当たらない。
車で同じところをぐるぐる回っていると、あった。
さっきまで上の方を見上げながら探していたけど、あのクラッシックな時計台、意外に小さかった。
高さ4〜5メートルくらいか?
がっかり名所で有名な札幌の時計台より、遥かにがっかりサイズだ。
そして気付いたんだけど、小樽にある蒸気時計と瓜二つじゃないか。
どういうことだ?・・・これがオリジナル。あれはレプリカだったのか。
でも、写真は撮りたくて駐車できる所を探したが、少し離れた道路脇の駐車スペースは、パーキングメーターが30分限定だった。
昼食のおつりのコインを入れると、カウントダウンが始まる。30分で戻らないといけないのか!
急ぎ足で、時計台に向かう途中、雰囲気のいい町並みのスナップを撮りながら、初めてのカナダを感慨深く歩いてみる。
13時に到着したら、蒸気時計の汽笛が鳴っていた。
他の観光客が15分ごとに鳴ると話していたので、その汽笛を動画に撮りたくて、小雨の振る中、傘も持たずに、少し焦げたような匂いを嗅ぎながら、更に15分待つことに。
ようやく何でもない汽笛を撮影して、急いで車に戻る。
時間オーバーして、反則切符を切られたくないからな。

とは言え、落ち着いたきれいな街の、雨の中蒸気が上がる小さな時計台も、割りと印象深き景色だった。