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入れば?

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「笑空、あーけーてー」

 飲み物やお菓子の容器を載せたお盆で 両手が塞がっていた和伊さんは、中に呼び掛けました。

「あーけーるー」

 開いてもらったドアから、自室に入る和伊さん。

 お盆のをテーブルに置いて、クッションに腰を降ろします。

「それでは、ダベりますか」

 向かい側に座った笑空さんは、お菓子に手を伸ばしました。

「私達って…ここ一月程、毎週同じ事してるねぇ」

「まぁ、お金もないし」

「同じ事の繰り返しって…既視感とか言うんだよね。」

「『前に同じ事したっけ?』ならまだしも、『毎週同じ事してる』を、<既視感>とは言わないでしょ」

「そうなの?」

「─ そもそも<既視感>って言うのは『一度も見た事がないのに、既にどこかで見た事がある様にように感じる事』だし」

「おー インテリ和伊ちゃん!」

「もっと褒めてくれて 良いよ」

「じゃあ、かしこの和伊さん。私達のこう言う状況は、何ていうんですか?」

「…マンネリ。」

作品名:入れば? 作家名:紀之介