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藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
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LOVE BRAVE THE MOVIE

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 「また赤バラ爆弾事件が起こったみたいです。怖いですねえ」
 スマートフォンでネットニュースを見てから、スティーブンはヒューゴに言った。
「あぁ、犯人はいまだに捕まってないらしいからな。スティーブン、フィルジミも、日本風の服の女を見たらあまり近寄るな」
 ヒューゴは淡々と言ったが、直後に少し震えた。
(でも…、何でヒューゴとスティーブンは被害に遭ってないんだろう…)
 ジミーは首をひねった。


 数日後のこと。LOVE BRAVEはトロント市内の某イベント会場で、新作アルバム「LOVE BRAVE」の発表イベントを終えて、通用口から出てきた。
「みんな、おつかれ!」
 フィルがそう言った直後、肩の所が大胆に開いた、陰鬱なバラ色の妖艶な和服を着たゴーストオイランが4人に立ちふさがるように現れた。当然、フィルは迷惑そうな顔をした。
「誰ですか?」
 ゴーストオイランは彼に軽蔑の眼差しを送った。
「おまいさんたちが、らぶ ぶれいぶ だね?」
「はい、そうですけど」
 フィルが最大限に警戒しながら答えると、彼女は突然少し距離を取り、その手のひらからバラの花びらを何枚も出現させた。それらは女の手を離れてひらひらと舞ったかと思うと、LOVE BRAVEの足元に落ちてきた。すると次の瞬間、バラの花びらが極小の花火のように爆発した。4人は衝撃に驚き、へたり込んだ。
「こいつが…」
 ヒューゴが荒い呼吸交じりにつぶやいた。そんな彼らを前に、バラ色の和服の女は勝ち誇ったように言った。
「あちきにこのまま反撃してごらん。おまいさんたち、女に手を上げたやつとして、世の女たちを敵に回しちまうよ」
 悪そうな笑みとともに、ゴーストオイランは手のひらから再度バラの花びらを4枚出現させた。それらは女の手を離れて妖しく舞い、1枚はフィルの右胸に、1枚はヒューゴの右の前腕に、1枚はジミーの左の二の腕に、そしてもう1枚はスティーブンの左手の甲に貼り付いたのだ。
「やばいっ…!」
 このあと起こることは、彼らにはもう分かっている。4人は急いで花びらを取り除こうとしたが、爆弾バラが暴れるほうが早かった。
「「「「!!!!」」」」

 LOVE BRAVEは命を取られるには至らなかったが、あのバラの花びらがくっついた箇所は、ひどいやけどと出血が起こっていた。全員がそれぞれの患部付近を押さえ、歯を食いしばってうずくまった。ゴーストオイランは被害者たちの様子を見て、無言で煙管で一服したあと、満足げな笑みを浮かべて基地へ戻っていった。
作品名:LOVE BRAVE THE MOVIE 作家名:藍城 舞美