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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「美那子」 浮気 一話

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「美那子ちゃんは美人なだけではなく、お母さんやお父さんのことも考えられる素敵な女性なんだね。感心したよ」

「母とは小学校の時に嫌なことがあってあまり仲良くしてなかったんですが、最近は打ち解けあえて仲良くなりました。お兄ちゃんもお母さんとは仲いいしね。後は父と母だけ・・・かな?」

「おっと、問題発言だね。美那子ちゃんはどうして小学校の時お母さんを避けるようになったの?言えないことならいいけど」

「言えなくはないですが、兄との関係です。ずっとね一緒にお風呂に入っていたんですが、兄が中学になってから母が突然止めるように言ったんです。それで私がすごく泣いて・・・理由が分からなかったから嫌がらせしていると感じてしまったんですね」

「そうか、まだ小学校三年ぐらいだとそうだよな。お兄ちゃんは嫌がらなかったのかい?」

「嫌がることは無かったです。世間では変なことを言う人がいますが、今でも兄とは仲良くて、一緒に遊びに行ったり、今回も旅行に誘ったのは兄だけだったんですが、お母さんがついてくると言うので三人になったんです」

「ふ~ん、いいね、兄妹が仲良くするというのは。我が家の子供たちにも見せてやりたいよ。おれは妹がいなかったからよく解らないけど、中学になればお風呂はさすがに小学三年の妹と言えど一緒は恥ずかしいって思うなあ~」

「どうしてですか?」

「ええ?それ答えろって言うの?ハハハ~」

美那子も一緒に大声で笑った。
美樹は三枝と美那子が仲良く話している姿を見ていよいよ心配になってきた。
そして席に戻ってきたときに手に封筒を持っていたから何かを尋ねた。

「三枝さんが、旅行先でお土産でも買いなさいとくれたの」

中を開けると現金が入っていた。それも5万円。
きっと急に思いついたのではなく前から用意していたのだろう。
美樹は慌てて返しに行った。

「無粋なことするなよ。なぜあげたのか理由も言ったはずだよ。聞いてないのかい?」

「聞いたわよ。でもおかしいって思う。他人ですよ」

「千佳に悪いだろう。好意を無駄にするようなこと言うなよ」

実はバイト先で千佳が旅行に誘われた時に断ったことを申し訳なく感じて、餞別として渡すように頼まれていたお金だった。そこへ当日美那子を思う気持ちで3万円追加して5万円にして渡したのだ。
美樹と飛行機が一緒になるという事を前の日に妻に話したことで、渡すように頼まれていた。