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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「美那子」 旅行 三話

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「そうだったの。何でお父さんも知っているの?」

「融資しているからよ。ほらお父さんの銀行が親会社と仲良いから、融通しているんだと思う」

「へえ~世間は狭いね。で、まさか前に話してくれた元カレって三枝さんじゃないわよね?」

「ええ~何を言うの!もう、本当に・・・あるわけないじゃないの」

「聞いてみただけ。そうだ、今日お兄ちゃんと買い物に行ってこれ買ってきたの」

美那子は袋からミニスカートを出して母親に見せた。

「穿いて見せて、お母さんに」

その場で着替えて、どう?と尋ねた。
じっと見ているとすべてに自分と夫との遺伝子じゃないと感じられた。

「素敵よ。美那子はすっかり大人ね・・・なんだかお母さん嫉妬するわ」

「何を言っているの。お母さんだってこの頃綺麗になったって思うよ。お兄ちゃんもそう言っていたし。ねえねえ?聞いていい?」

「あら、そう。何が聞きたいの?」

「お母さん、好きな人出来たの?」

しばらくの沈黙があった。ほんのしばらくだったが、沈黙してはいけない場面であったことを忘れてしまった。

「なんという事を聞くの。そんなことあるわけないでしょ」

「だよね。お父さんがいるんだから」

「そんなことより、そろそろ準備をしておかないと間に合わなくなるよ。出発は来週なんだから」

話題を変えて美那子の気持ちを逸らした。
美樹はその夜芳之に電話をした。美那子に絶対に変なことを言わないでねと頼んだ。
そして子供たちと旅行に行くとも話した。
偶然だったのか、こんなことが起こるのかと思うほどそれは美樹にとって聞かされたことは驚きだった。

「美樹その日はおれも仙台にいるんだよ。新しくオープンするコンビニの最終打ち合わせに立ち寄る。飛行機の時間も同じかも知れないぞ」

「本当に?空港で一緒になるっていう事なの」

「ひょっとしてそうなるな。なあ、どこかのタイミングで二人だけで会えないかなあ?」

「そんなこと無理よ。絶対にダメ」

「美那子ちゃんは可愛いなあ~自分の子供だと思うと余計にそう感じる。絶対に変なこと言わないから、四人で昼ご飯でも食べようよ」

「芳之さんはお仕事が忙しんじゃないんですか?それに、秀一郎もいますし気を遣いますので遠慮させて」

「そうか、美樹のように慎重にしないとおれたちはいけないよな。会うのは帰って来てからにしよう」

「うん、ありがとう。そうさせて」

出発の朝、名古屋空港で美樹は搭乗カウンターで手続きをしている三枝と顔を合わせた。