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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「美那子」 誘惑 二話

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美樹は夫にどういう言い訳をして出かけようか考えていた。
三枝は妻に明日残業があると伝えて美樹との約束をごまかした。

「あなた、明日ね同窓会のことで由美と会うの。知っているでしょ?それで夕飯は美那子に頼んでおくから済ませておいてくれる?」

「ああ、いいよ。同窓会か、おれなんかずっとしてないなあ~みんなどうしているか知りたい気もするけど、男は忙しいから難しいかもな」

「そうね、いつも同窓会はほとんどが女子ばかりだから、男子は商売人しか来れないって感じね。48歳って働き盛りだしね」

「かも知れないね」

美樹はうしろめたさから少し甘えようと夫が求めてくるように少し上目遣いをした。
相変わらず夫は元気だったがそれはあっという間に終わった。

美樹が待ち合わせ場所に着いたのは7時ちょっと前だった。
目の前の母校を見つめながら三枝を待っていると後ろから肩をポンと叩かれ、
振り向くと彼の顔がすぐ近くにあった。

「お待たせ。美樹は全然変わってないな~相変わらず美人だ。スタイルもいいし、嫁さんとは全然違うよ」

「まあ、会うなりお世辞言って。お互いに48歳でしょ、美人なわけないじゃん」

「おれはオッサンになったけど、美樹は年齢よりは若く見えるし、きれいなものは変わらないっていう事なんだよ。で、どうする?夕飯食べる?」

「うん、食べて来てないから久しぶりにここのレストランに入ろうか?」

「そうだな、ここって個室もあったよな?空いていればいいけど」

和風レストランは奥飛騨にあった古民家を解体して新たに建て直した藁ぶき屋根の合掌造り風になっていた。
中に入って畳敷きの個室に二人は通された。

「空いていて良かったな。ここなら話しやすい」

女座りをした美樹の細い足を眺めながら、三枝は遠い過去のことを思い出していた。
あの時とほとんど変わっていないように見える体付きに妻とは遠ざかっているセックスの感触が甦ってくる。

「芳之さんは奥さんとうまくいっているの?」

「うん?突然そんなこと聞くんだ。美樹はどうなんだ。旦那が羨ましいって感じるけど、おれんところは母ちゃんっていう感じだから夫婦というより家族っていう感覚かな」

「同じね。子供が大きくなるとそうなってしまうのよね、解るわ」

「今日は特別に話があったんだろう?どうしたんだよ」

「あのね、夫から言われて気付かされたんだけど、娘の美那子が息子の秀一郎と仲良くしているのよ。それはいいことなんだけど、回りからねあの二人は兄妹ではないって思われていて、特に息子の同級生から二人が兄妹であるはずがないと父親を通して聞かされているのよ」

美樹はそしてあの日のことを三枝に語り始めた。