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てっしゅう
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「熟女アンドロイドの恋」 第三十三話

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さらに議事堂内は騒がしくなる。
「ご静粛に!」何度も何度も議長がそう叫ぶ。

「内藤さん、いま発言されたことは事実なら由々しき問題です。根拠を示して戴けませんか?」

「私はアメリカで関係者と会って今回の発言に関する打ち合わせをしましたが、平行線でした。当然ですよね、民間機を撃ち落としたなどと言えるはずがありません。この飛行機に搭乗していた枇々木浩介さんは、当時アメリカが秘密裡にイスラエルに対して核弾頭を提供する準備を進めていた事実を知りました。その真意とイスラエルの対応を探るため神戸にあるイスラエル大使館へ家族旅行と称して向かう途中に墜落した、いや撃墜させられたのです」

場内は収拾がつかない混乱をきたしていた。
もちろんこの中継を見ていた多くの市民たちも驚かされていることだろう。

「議長!」

騒ぎの中で与党の議員が挙手をした。

「大河内君発言を許可します」

「自由党の大河内です。内藤さん、今言われたことは推測ですよね?いい加減な思い込みや、怪しい情報からでの発言だとすると許されませんよ。証拠を出してください!」

「数日前に我々の仲間が墜落事故現場近くにあった、米軍の倉庫跡を見つけました。そして、偶然深夜に運び込んでいるトレーラーを目撃したご夫婦の証言も取れています。その時刻その場所へ米軍は何を運んでいたのか調査してください。恐らくそんな事実はなかったというでしょうけど」

「その件は大至急調査させましょう。内藤さん、仮にもしもですよ、言われているような事実があるとして、アメリカがイスラエルに対して核弾頭を提供することが、民間機を墜落させるような非道をする原因としては考えられないのですが、お父様と親しかったジャーナリストの、つまり奥様の父上の枇々木浩介さんは本当にそのことだけを神戸の大使館で確認されたかったのでしょうか?」

「当時アメリカは核拡散防止条約を核兵器所有している大国と交わしていました。その約束事の中には大きなことが二つあったんです。一つは他国へ核兵器の提供を行わない。もう一つは新しく核兵器を開発しているだろう国家に対しては国連と合同して査察を行い、その事実があった場合は廃棄を要求し、応じない場合には経済的制裁を加えると公言していたんです」

内藤の見識の高さに議員たちは沈黙する。