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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「熟女アンドロイドの恋」 第三十三話

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「皆様、内藤肇と言います。職業は科学者です。今のご質問にお答えする前にお知らせしておかないといけないことがありますので、お許しいただけますか?」

与党側としては断れる雰囲気ではなかった。

「内藤君、許可します」

議長の声がした。

「ありがとうございます。わたくしの父はフリーのライターをしておりました。85年の墜落事故で亡くなられた同じくジャーナリストの枇々木浩介さんと、とある連絡を取って、偶然ではなく墜落事故現場の周辺におりました。突然の墜落を見た父は現場へ駆けつけそこで枇々木潤子という幼い少女を助けました。報道されている4人の生存者のほかにもう一人生存者がいたのです」

場内がざわめく。
さらに内藤は続けた。

「その少女を見つけたときに傍で数人の自衛隊員が探し物をしていました。オレンジ色の金属片を持ち去るその後姿へ父は、子供を救う事より大切なことなのか、と言いましたが無言で去ってゆきました。大規模な生存者救出作業の中、既に助けられた少女の叔母夫婦へ、とある高官がそれはどこの誰なのかは不明ですが政府関係者だと思います、こう言ったのです。この事故で助かったことは内緒にして欲しい。その見返りとして叔母夫婦へ莫大なお金が与えられました。そして少女は両親と弟が交通事故で亡くなったと聞かされ育てられたのです。枇々木潤子はわたくしの妻です」

「お静かに!質問には挙手でお願いします」

あらかじめ内藤への質疑は挙手で自由に行うと決められていた。
一人の若い議員が挙手をする。

「日本改革党の前田です。内藤さん、今のお話はお父様から聞かされていたことなのですか?そして我々が追及している墜落事故の原因をお父様からお聞きになっているのですか?教えてください」

「父は実際に見たことを報道しようとして何者かに拉致されました。私の手元に残されているのは、ここにあるメモだけです。確実に言えることは事故機に搭乗していて、助けられた記憶がある少女がわたくしの妻であること、その記憶が鮮明に残されているという事、そして今回の証言を隠蔽したい組織から私と妻の潤子が危険な目に遭って海外へ行かざるを得なくなったことです」

「墜落した航空機の搭乗者名簿を見れば潤子さんが乗っていたことは証明できます。助かったことを公にするなと言われる理由は、潤子さんではなく自衛隊員が持ち去ったオレンジ色の金属片に問題があったのではないでしょうか?」

「はい、おっしゃられる通りです。オレンジ色の金属片は垂直尾翼に命中した訓練用ミサイルです。そしてその破片にはUSAという文字がプリントされていました。つまり自衛隊機から発射されたのではなく厚木基地から米軍が発射したものだったのです」