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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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風鳴り坂の怪 探偵奇談15

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こころを照らす向こう側



強烈な太陽の光の下で、じっと座り込んで痛みに耐える。

喉がひりつく。
水が飲みたい。
空腹は痛みに変わり、乾いた身体の中から、血の味がせり上がってくる。

ここで、いつまで待てばいい?
そう、雨が降るまで待てばいい。水がなければ、人間は生きられない。雨を降らせるのが自分の役目。そのために自分は生まれた。
大切な人を守るためのお役目ならば、つらくはない。つらくはないのだ。
朦朧とする意識を飛ばさないように、繰り返し繰り返しそのことだけを考える。

「本当にそれでいいの?」

目の前に、颯馬がいる…。座り込み、もう声も出せない自分の前に、いつものようににこやかに立っている。もう死がそこまで迫っている瑞は、干からびていく瞳の奥で颯馬を見、もう殆ど聞こえないはずの耳で、颯馬の声を聞く。

「大切な人のために死ぬのじゃなくて、大切な人と生きるほうがずっと幸せなんだよ?」

枯れ枝のような瑞の手を、颯馬が強く握って立たせる。
そうなのだろうか。そんなことを言ってくれるひとは、今までいなかったように思うのだが。

「死にたくない…」

そう願っていいのだろうか。

「もういーの。瑞くんはもう、罪を償った。十分傷ついて苦しんで、次は幸せになる番なんだから」

渇きと痛みが消えていく。気が付くと、制服を着て、瑞はそこに立っていた。もう自分は生贄ではない。生きていていいのだ。そうだ、あれはもう、遠い遠い別の世界での終わった出来事のはずなのだ…。

颯馬の指さす先にぽっかりと空間に開いた闇があり、そこに赤い晴れ着姿の、あの少女が立っている。坂で見た少女。

「あの子は…」